万葉仮名一覧

万葉仮名一覧 : 万葉仮名とは、万葉集に多くある、 漢字をその音や訓を使って仮名として用いたものをいいます。 例えば ア を、「阿」や「足」と書き、漢字の表意文字としての意味とは関係なく使われています。 またその頃には、母音が ア・イ・ウ・エ・オ の5つだけではなく、 イ・エ・オ に2種類の発音があって、8つの母音がありました。 この一覧にある「甲類」「乙類」はそれを表しています。 そして平安時代の初め頃に、漢字を略して作られた、平仮名や片仮名が成立し主に用いられるようになりました。
また万葉仮名は、古事記や万葉集の頃だけでなく、 後の時代であっても漢文で書かれている本の中で、和名の読み方を書き表すところなどにも使われており、 古文を読むには欠かせないものです。 しかし万葉仮名に使われている漢字は、例えばインターネットで調べようと試みても、 キーボードからその難しい漢字を出すことそのものが大変です。 そこで、主なものを一覧できるような形に書き出しておくのが便利ではないかと思い作ってみました。 ご利用いただければ嬉しいです。

あ行

読み 借音 借訓
阿 安 婀 鞅 英 吾 足
韋 為 位 威 謂 萎 委 偉 井 猪 居
(さんずい于を偏旁とする字、汚の正字) 有 宇 于 羽 鳥 紆 禹 雲 菟 鵜 卯 (盧鳥 を偏旁とする字) 得
え(ア行) 衣 依 愛 亜 哀 埃 榎 荏 得
え(ヤ行) 延 叡 曵 遙 要 兄 江 枝 吉
ゑ(ワ行) 恵 廻 慧 衛 隈 穢 画 咲
意 憶 於 隠 飫 淤 応 乙
を(ワ行) 乎 袁 遠 怨 呼 鳥 鳴 塢 (りっしんべん宛を偏旁とする字) 越 男 雄 緒 (口りっとう を偏旁とする字)

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か行

読み 借音 借訓
加 架 賀 迦 嘉 可 何 河 哥 珂 柯 訶 舸 歌 軻 甲 汗 箇 介 蚊 香 鹿
奇 宜 我 俄 峨 蛾 餓 鵝 何 河 賀
き(甲類) 支 伎 岐 吉 企 枳 棄 耆 祗 祁 妓 寸 來 杵
き(乙類) 貴 紀 幾 帰 奇 寄 綺 騎 己 記 機 基 気 歸 忌 (皀旡を偏旁とする字、既の旧字) 癸 木 城 樹 黄
ぎ(甲類) 芸 藝 伎 岐 祗 儀 蟻
ぎ(乙類) 疑 宜 義 擬
久 玖 九 鳩 口 句 群 苦 丘 倶 区 勾 矩 (糸勾 を偏旁とする字) 衢 窶 (屐 の支を婁に替えた字) 君 訓
具 遇 隅 求 愚 虞
け(甲類) 家 計 祁 奚 谿 鶏 価 啓 稽 結 稽 價 賈 介
け(乙類) 気 居 希 挙 既 戒 開 階 (りっしんべん豈 を偏旁とする字) 凱 概 該 (皀旡を偏旁とする字、既の旧字) 慨 擧 毛 食 消 笥 飼
げ(甲類) 下 牙 雅 夏 霓
げ(乙類) 義 宜 礙 (旦寸 を上下に置く字) 皚 偈 碍
こ(甲類) 古 故 姑 (示古 を偏旁とする字) 高 庫 狐 固 顧 胡 枯 子 児 粉 籠 小 兒
こ(乙類) 己 許 巨 去 居 忌 虚 挙 (くさかんむり呂 を上下に置く字) 渠 拠 擧 據 興
ご(甲類) 呉 胡 吾 後 虞 悟 誤 娯 五 候
ご(乙類) 其 期 碁 凝 語 御 馭

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さ行

読み 借音 借訓
沙 佐 左 作 散 紗 草 者 柴 積 娑 舎 差 瑳 磋
社 射 謝 邪 奢 装 奘 蔵
之 志 斯 子 芝 次 思 偲 寺 侍 詩 師 四 此 紫 旨 指 死 司 詞 事 時 資 矢 尸 伺 嗣 試 始 施 (施を 糸へんに替えた字) 璽 辞 色 式 信 新 ・ 磯 為 僧 石
自 士 仕 司 時 尽 緇 慈 耳 茸 珥 餌 児 弐 爾 兒
須 周 州 洲 酒 珠 数 寸 主 秀 素 蒭 輸 殊 栖 渚 酢
受 授 殊 聚 儒 孺
世 勢 西 栖 齊 剤 細 制 是 瀬 背 脊 湍 迫 狭
是 筮 噬
そ(甲類) 蘇 祖 素 泝 宗 嗽 (示且を偏旁とする字、祖の旧字) 巷 十 麻 磯
そ(乙類) 思 曾 曽 僧 増 贈 層 所 諸 則 憎 賊 衣 背 其 苑 襲 彼
ぞ(甲類)
ぞ(乙類) 序 叙 存 賊 (金尊 を偏旁とする字) 茹 鋤 敍 (缶尊 を偏旁とする字)

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た行

読み 借音 借訓
多 侈 太 大 他 (施 を こざとへんに替えた字) 駄 党 (口多 を偏旁とする字) 田 手
(施 を こざとへんに替えた字) 太 大 騨 娜 嚢 (にんべん嚢 を偏旁とする字)
知 智 至 陳 致 (てへん致 を偏旁とする字) 笞 池 馳 千 道 乳 路 血 茅
治 遅 地 膩 尼 泥 (方尼 を偏旁とする字)
都 豆 頭 川 州 通 追 途 菟 屠 突 徒 覩 図 闘 鬪
豆 頭 逗 図 弩
弖 (氏一 を上下に置く字) 天 提 帝 諦 底 堤 題 手 代 価 直
提 泥 代 伝 田 (泥土 を上下に置く字) 殿 低 耐 弟 涅
と(甲類) 刀 斗 土 杜 度 渡 都 覩 図 屠 徒 塗 妬 圖 戸 門 利 聡 砥 礪 速 疾 鋭 外 聰
と(乙類) 止 登 等 騰 台 苔 縢 藤 (登りっとう を偏旁とする字) 鄧 臺 苫 澄 得 十 鳥 跡 迹 常 與 飛
ど(甲類) 度 渡 土 奴 怒
ど(乙類) 杼 騰 縢 藤 特 耐 廼

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な行

読み 借音 借訓
奈 那 難 儺 寧 乃 南 娜 名 魚 七 菜 中 莫
爾 (にんべん爾 を偏旁とする字) 邇 仁 二 人 日 尼 而 弐 耳 珥 丹 荷 煮 似 瓊
奴 農 濃 (くさかんむりに甦 の更を豕に替えた字) 沼 宿 寐 渟
(示爾 を偏旁とする字、禰の旧字) 尼 泥 (泥土 を上下に置く字) 年 涅 根 宿
の(甲類) 努 怒 弩 奴
の(乙類) 乃 能 廼 箆 荷 笶 篦

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は行

読み 借音 借訓
波 破 婆 八 半 方 房 防 播 幡 (白番 を偏旁とする字) 薄 泊 巴 簸 伴 絆 (絆 を さんずいへんに替えた字) 羽 葉 歯 者
婆 伐 麼 魔 磨 縻
ひ(甲類) 比 (田比 を偏旁とする字) 卑 必 臂 賓 嬪 避 譬 毘 辟 日 檜 氷 負 飯
ひ(乙類) 非 斐 悲 肥 飛 被 彼 秘 妃 費 祕 火 樋 干 乾 簸
び(甲類) (田比 を偏旁とする字) 妣 鼻 婢 彌 弭 寐 毘
び(乙類) 備 肥 眉 媚 縻 傍
不 布 敷 富 負 府 符 甫 輔 赴 浮 否 賦 経 歴 乾
夫 父 部 扶 歩 矛 (驚 の苟を矛に替えた字)
へ(甲類) 俾 敝 弊 幣 蔽 覇 遍 陛 平 反 返 弁 辨 (革卑 を偏旁とする字) (鼓卑 を上下に置く字) (敝犬 を上下に置く字) 部 辺 重 隔 伯 方 邊 畔 家
へ(乙類) 閇 倍 陪 拝 沛 杯 背 俳 珮 閉 拜 戸 経 綜 (瓧 の十を缶に替えた字) 瓮 缶 甕 (缶瓦 を偏旁とする字) 經
べ(甲類) 弁 辨 便 別 謎 婢 (鼓卑 を上下に置く字)
べ(乙類) 倍 陪 毎 謎
保 富 菩 宝 寶 本 番 蕃 朋 倍 陪 抱 袍 方 報 (褒 の保を臼に替えた字) 褒 譜 火 穂 帆
煩 菩

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ま行

読み 借音 借訓
万 馬 末 麻 磨 摩 魔 麼 満 莽 真 間 目 信 鬼
み(甲類) 美 彌 民 (さんずい眉 を偏旁とする字) 弭 寐 瀰 敏 三 見 御 水 参 視 (示見を偏旁とする字、視の旧字) 眷
み(乙類) 未 味 尾 微 身 実 箕 實
牟 武 无 無 模 務 謀 (にんべん舞 を偏旁とする字) 鵡 霧 夢 茂
め(甲類) 売 馬 (口羊 を偏旁とする字) 面 迷 謎 綿 賣 女 婦
め(乙類) 米 迷 梅 昧 妹 毎 未 (王毒 を偏旁とする字) 晩 目 眼 海藻
毛 母 茂 望 文 蒙 忘 畝 門 問 聞 悶 勿 木 暮 謀 慕 模 謨 梅 墓 莽 裳 藻 哭 喪 裙

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や行

読み 借音 借訓
夜 移 也 耶 野 楊 陽 益 椰 揶 (王耶 を偏旁とする字) 屋 八 矢 箭
由 遊 喩 踰 愈 臾 (广臾 を組合わせた字) 油 弓 湯
よ(甲類) 用 容 欲 庸 遙 遥
よ(乙類) 余 与 已 予 餘 預 誉 與 譽 (予象 を偏旁とする字) 世 代 四 吉

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ら・わ行

読み 借音 借訓
良 浪 羅 邏 (口羅 を偏旁とする字) (てへん羅 を偏旁とする字) (しんにょう蘿 を組合わせた字) 楽 樂
利 里 理 隣 梨 (口利 を偏旁とする字) 離 釐
留 流 琉 類 瑠 婁 楼 (尸婁 を 組み合わせた字) 漏 盧
礼 列 例 烈 連 黎 戻
ろ(甲類) 路 漏 盧 魯 露 楼 婁 樓
ろ(乙類) 呂 里 侶 慮 廬 稜 閭 勒
和 宛 (さんずい宛 を偏旁とする字) 倭 丸 輪

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参考文献
日本国語大辞典 第一版、第二版(小学館)
字訓 (白川静 平凡社)
甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087