今月は
だんだんと気温が下がってきましたね。 カレンダーもあと2枚になりました。毎年、年の初めにカレンダーの11月や12月のを見て、 ここまで来るのは遠いなーとか思うのですが来てみると早いんですよね(笑) しかも年々早くなるような気がします。 これは明らかに年のせいのような(笑)
ま、とにかく秋も終盤でここ金沢ではいよいよストーブの出番です。 エアコンもフィルター掃除をして自動クリーニングをかけました。 春が来るまで大変ですが、なんとか頑張って行きましょう!
では、晩秋の紅葉を詠んだ歌です。よみ人知らずです。
こひしくは見てもしのばむもみぢばを吹きなちらしそ山おろしのかぜ
《恋しくは 見ても偲ばむ 紅葉葉を 吹きな散らしそ 山おろしの風》
恋しくある時には 見たりして偲びたい 紅葉葉を 吹いて散らすな 山からの吹きおろす風。
美しい紅葉をいっぱい楽しんで、そして秋も終盤となると次は冬、華やかな色もこの紅葉でお仕舞いです。
もちろんそれを止めることが出来ないことは分かってるわけですが、
また春までは長いなーとか思うとあっさりさようならとも思えない、やはり惜しまれるのです。
でも落ちた紅葉葉も、赤や黄色の色があるうちはまだ秋の雰囲気が感じられます。
この歌のよみ人知らずさんは、その落ちた紅葉であっても出来るだけ長く味わっていたいという思いから、
紅葉を吹き散らすなと歌を詠んだわけです。
「恋しくは 見ても偲ばむ」“恋しくある時には 見たりして偲びたい”ということですね。
昔は、あたりまえですが動画はもちろん写真などはありません。
もちろん絵はあるんですが筆にはやはり限りがあります。
枕草子にも
絵にかき劣りするもの、なでしこ、菖蒲(さうぶ)、桜、物語にめでたしといひたる男(をとこ)女(をんな)のかたち。(枕草子)
とあります。
枕草子には「かき勝りするもの」というのもあるんですがそれは松の木、山道などで、紅葉などのような華やかな景色ではありません。
かき劣りするものは割と華やかな感じの景色で、そういうものを描くのが特に難しかったのでしょう。
結局、「見ても偲ばむ」“見たりして偲びたい”と思えるようなものは、
本当に散り落ちた紅葉葉だけだったわけですね。
恋しくは 見ても偲ばむ 紅葉葉を 吹きな散らしそ 山おろしの風、
でも、 確かに“吹いて散らすな”の気持も分かるんですが、
地面の土の上で紅葉が腐って行くのを見るのもちょっと悲しいものです。
落ちた紅葉葉がまだ美しいうちに、さっと吹き散らしてしまう、
これは山おろしの風さんの粋なはからいかもしれません。
色んなことが浮かんでくる、晩秋の歌ですね。
さあ、紅葉の晩秋です。そして冬へ向かいます。向かいたくないんですが(笑)