今月は
今月は、23日が秋分の日です。 この日は秋のお彼岸の中日ですから、尾を引いて残っていた暑さもここらでお終い。 ほんとに秋らしくなってきます。 夏から秋へは、もちろん気温だけではありません。 秋ならではの旬の食べ物も登場しますね。 サツマイモ、松茸、栗、柿、サンマ・・・秋は草花も楽しめますが、食材もほんとに楽しみです。 秋が本格的に来る月です。いいですね。さてこの夏から秋への時節、ここは、金花糖の甘味でゆったり気分になられては如何でしょうか。 金花糖の餡は、丹波大納言の小豆です。ほんとに美味しいです。 この時節を、ぜひ金花糖で楽しんでくださいね。
では、初秋を詠んだ歌です。よみ人知らずです。
秋風のうちふきそむるゆふぐれはそらに心ぞわびしかりける
《秋風の うち吹き初(そ)むる 夕暮れは 空に心ぞ 侘(わび)しかりける》
秋風の さっと吹き初める 夕暮れは 空の眺めに心が惹(ひ)かれ 心さびしく辛い気分になるなー。
秋と聞いて思い浮かぶことと言えば、
今の我々は美しい夕日や花や紅葉と楽しみいっぱいの季節ような感覚です。
でも昔の人は美しいいい季節であることは同じなのですが、暗い気分になる季節でもあったのです、
まず秋は夜長ですが、昔の照明はお皿に入れた油に芯を入れただけのものです。
とにかく暗いです。
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しかもこれを手紙や本を読む時にしか点けません。話す時もその時にはよりますが普通は真っ暗のままです。 秋の夜長は、暗い長い時間に、ついつい物思いを積み重ねてしまうような堂々巡りに心が入りこんでしまうのです。 これはいけませんね。
実は秋は、もう一つ暗い気分になることがあるのです。 それは秋は確かに美しいのですが、秋が終わると次は冬になるということです。 秋は華麗な色の時節です。 赤い夕日、黄色 青紫 赤紫など様々な色の草花、そしてまさに華麗な赤や黄色の紅葉となるのですが、秋はこれで終わり。 次はとにかく寒く、まるで白黒の世界のような冬が来るのです。 そして昔の人は、秋が始まると、もうすぐに秋が終る心配をしてぃたのです。
秋は素晴らしいと思いながらも、心が暗くなる季節なのでした。 でも昔の人は、その秋の心が暗くなるようなことも、一方では秋の趣きとしてとらえていました。 さすがですね。
「秋風の うち吹き初(そ)むる 夕暮れは 空に心ぞ 侘(わび)しかりける」、 これは立秋かそのあたりに詠まれた歌と思いますが、 立秋というと8月上旬頃ですから、秋風を感じることは普通はないでしょう。 まあそこは形式的なのですが、夕日の美しさ、それは8月の上旬ころからはっきりと表れてきます。
「春はあけぼの」に対して「秋は夕暮れ」。 秋の夕日の美しさは本当に素晴らしいです。 この歌のよみ人知らずさんは、夕暮れの空の美しさに思わず見とれてしまい、心が一気に秋モードになってしまったのでしょう。 一気に秋気分となって、「空に心ぞ 侘(わび)しかりける」《心さびしく辛い気分になるなー》と浮かんだわけです。 本当に秋の初めらしい、美しい歌ですね。
さあ、いよいよ秋が本番に。秋の夜長もやってきます。 昔と違って、今や夜長もLEDで明るい気分。好きな事にゆっくりと楽しめます。秋、最高と行きたいですね。