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今月は

春春、今月はほんとに暖かくなってきますね。 先月はまだ寒い暖かいが何日かごとに繰り返してましたが、いよいよです。 やっぱり暖かいのはいいです。 ここ金沢ではまだ暖房は要るのですが、電気も灯油もだんだんと使わなくなってきます。 外へ出るのも気軽になって、 年々動かなくなる体もぐっと動けるようになるわけです(笑)ほっとすれば元気も上がるので、 今月は一段と気持ちを上げて行きたいです。
金花糖も今月は、庭の光がすっかり春の明るさです。 花も春の花で、春いっぱいでお迎えいたします。 そして今月のおすすめは、「抹茶ぜんざい」です。 「抹茶ぜんざい」は、丹波大納言の餡と、 自家製アイスの美味しさをそのままシンプルに味わっていただくメニューです。 餡の上にアイスが載り、上に抹茶の濃茶がかかっています。 そして彩りに、金箔と白玉が添えられます。 濃茶はシロップではなく、お点前で使う抹茶を使っていますので、 餡とアイスの美味しさがいっそう深い味わいになっています。 ほんとうに美味しいメニューです。 今月はぜひ金花糖で、「抹茶ぜんざい」をご賞味くださいね。
では、春の花を詠んだ紫式部の歌です。前書きがあります。

桜を瓶(かめ)に挿して見ていると、何する間もなく散ってしまったので、桃の花のある方を眺めて。

をりてみばちかまさりせよももの花おもひぐまなきさくらをしまじ
〔折りて見ば 近まさりせよ 桃の花 思ひぐま無き 桜惜しまじ〕

折って見るならば 近くではもっと美しくあれ 桃の花 相手の気持ちを思ってくなれない 桜を惜しむことなし。
桜はほんとに美しいんですが、散るのがとにかく早いですよね。 紫式部さん、桜を瓶(かめ)に立てて見ていたのですが、 あっという間に散ってしまって、 まあちょっと頭に来てしまったのかなと(笑)
そこで多分ですが式部さんが家の外を見渡すと、桃の花が咲いてるのが見えたのです。 そして、桜はせっかく気持よく見ている相手に思いやりがないから、桃の花にしよう、 桜は別に散ってもいいよと詠んだわけで、 なかなか強気です(笑)
しかし、桜さんにも色々事情があるわけで、別に意地悪で散っているのではないはず。 まあ紫式部さんは大変に賢い人でしたから、そういうことはよく分かっていたでしょう。 ただ昔は、桜が散るのは風のせいだと多くの人に思われていました。 たしかに散るころを見ていると、そんな風にも見えます。
ということは桜を瓶に入れて部屋に置いておけば、風に当たらないわけですから、 外にあるよりは長く持つのではと期待があったのではないかと思います。 ところがところが、桜はあっという間に散ってしまい、 えっどういうこと、と式部さんもついカッとなって桜に当たってしまったと、とにかく想像ですが(笑)
「折りて見ば 近まさりせよ 桃の花 思ひぐま無き 桜惜しまじ」、 桃の花にする!桜はいらない!
紫式部さんは漢詩人や学者として知られる家に生まれました。 父は、教えている息子より、傍で聞いている娘の式部の方が早く覚えてしまうので、 この子が男だったらと嘆いたそうです。 しかしその娘には高い知性だけでなく、 「思ひぐま無き 桜惜しまじ」と、ほとばしる感情の激しさもあったのです。 そしてそこから大長編、源氏物語を書く情熱も湧き出たのではないでしょうか。 紫式部の心の熱に触れたかのような、春に散る花の歌ですね。
さあ、春の真ん中です。いっぱい楽しみたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087