餡とインターネット
金花糖は、店主が会社勤めと主婦業の傍ら長年温めていた、 自分の店を持ちたいという夢を、実現させたお店です。甘味店にとって、 いちばんベースになるものは、なんといっても餡の味です。 素人ではあっても、どこにも負けない餡を作りたい、 そのこだわりが実現できるかどうかが、開店までの大きな課題でした。勤めを辞め、充電と開店準備の期間中は、東京や京都の有名店の食べ歩きに始まり、 餡のレシピを色々集めて、あのやり方このやり方とテストを繰り返しました。 凝ったレシピでは、使う鍋を指定してあるものまでありましたので、 鍋による違いなどもテストしていきました。(確かに、微妙に違うのです!) それと共に,材料もいろんなものを使ってみました。 餡の材料は、小豆、砂糖、水、これだけです。 その結果、小豆はやはり丹波大納言が美味しい、ということになりましたし、 水も、しっかりした浄水機を通したものの方が柔らかな味になることが分かりました。
この金花糖の餡を決めていく時に、想像以上に役立ったのがインターネットでした。 ネット上にはなんと、ベテランの餡の職人さんで「長年培った餡作りのノウハウを教えます」 という方もおられたのです。その方からはメールで、ここは何分ぐらいにした方がよいとか、 こんな材料もあるとか、アドバイスを戴きました。ありがたいことです。 もちろん、何度も何度も餡を作っているうちに、鍋で炊かれている小豆の「顔」を見て、 砂糖を入れるタイミングや炊きあがりが分かるようになってくる、 そういう経験が何より大切であったことは言うまでもありませんが。
また、丹波大納言の入手にもインターネットは活躍しました。 丹波の小豆も入手先によっては、悪い豆が多く混ざっていたりとか、 入るのは秋冬の時期だけだったりとか、問題が多いのです。 インターネットのお陰で金花糖は、 丹波大納言の中でも高い品質の小豆を使うことができるようになりました。 メデタシメデタシです!
2000年8月某日