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今月は

2005年 1月は

明けましておめでとうございます。新年、いかがですか。
金花糖は、今年で5年目をむかえます。 新奇なことよりも、落ちついて、寛げる雰囲気を、これからも大切に していきたいと思っています。 また、ゆっくりとした時間をお楽しみくださいね。
さて、お正月の挨拶として、今でも「新春」とか「初春」という詞が 使われます。それは陰暦では、年の明けるのが、ほぼ立春となる ことからきています。
この、紀貫之の新年に詠んだ歌も、詞書に「春立つ日によめる」とあります。

今日にあけて 昨日に似ぬは みな人の 心に春の 立ちにけらしな

<今日に年は明けて 昨日に似ていないのは 皆人の 心に春が 立ったのだなあ>

年が明けたという感覚、何も変わらないような、 しかし何かあらたまったような感じ。紀貫之は、 みんなの人の心に春が立ったから、世も、昨日とは違う感じなのだと 歌ったのです。すごく美しい思いですね。 そう、「新しい年」というもの、それは人の心に来ているものですよね。
正月の7日は七草ですね。昔は、その初春に摘む草を、若菜と言い ました。食すると、邪気を払い、若返るという縁起があるのです。 若菜を詠んだ、和泉式部の歌です。

春の野は 雪のみつむと 見しかども おひ出るものは 若菜なりけり

<初春の野は 雪のみ積むと 見て思ったけれど そこに生い出るものは 若菜なのだ>

積雪の中、若菜が、雪を分けるように生い出る姿、それは、 いつ見ても感動的です。今年は雪がこんなに積もって、 雪があるだけとしか見えてなかったのに、やっぱり若菜が出てたのだ!! 和泉式部さん、驚きと嬉しさが、こみ上げたに違いありません。
そう思うと、その若菜を食して、今年の生きる力を得ようというのは、 むしろ自然に浮かぶことなのかもしれませんね。
さあ、今年が、良い年でありますように。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087