バックナンバー

今月は

2009年 11月は

日中は寒くないのですが、 そうは言っても少しずつ気温も下がってきてるような気がします。 秋も深まってもう紅葉の時節ですね。 山の景色はもちろんですが、 神社の境内や庭木なども紅葉がほんとに美しいです。 春の桜に秋の紅葉!! 古来日本でもっとも愛されてきた眺めです。 ここはやはり、存分に楽しみたいものですね。
金花糖も、ぜんざい、焼き餅トリオ、 そして温かい鯛焼きとすっかり暖房メニューとなりました。 金花糖のお餅は、手でぺったんぺったんと搗いたお餅です。 お餅の伸びにも力があって、とても美味しいです。 店内も秋らしい落ち着いた雰囲気で楽しんでいただけます。 秋もぜひ、金花糖でお楽しみくださいね。
では、秋の紅葉から恋人への思いを詠んだ、よみ人知らずの歌です。

千千の色にうつろふらめどしらなくに心し秋のもみぢならねば
〔千々(ちぢ)の色に 移ろふらめど 知らなくに 心し秋の 紅葉ならねば〕

《色々に 変わるのだろうが 分からない 心は秋の 紅葉ならねば》

あの人の心は、千々の色に移り変わっているのだろうけど、 やはり分からない。心は秋の紅葉と違って、色も見えないものだから。
よみ人知らずさん、恋の悩みですね。 この「秋」は、飽きの意が掛かっています。 あの人の心には飽きが・・・
緑の葉が少しずづ色づき、黄色からだんだん赤くなる。 そして赤くなったといっても、 オレンジのものもあれば色合いにはいろいろ違いがあって、 紅葉はそれがまた美しいですね。 よみ人知らずさんは紅葉を見ていると、 その色合いの違いや色の移り変わってきたことが、 恋人の心とつながって見えてしまうのです。 あの人の心も、紅葉の色のように変わってきたのだろう。 でもどんな色になってどうなっているのだろうか。 心の色が見えればいいのだけれど、 心は紅葉ではないから・・・ 「心し秋の 紅葉ならねば」
思いが見事に詠まれた歌なのですが、 でもここまで来ると、当分回復は難しいかもしれませんね。(笑)
次は、崇徳院の歌です。

ひまもなくちるもみぢばにうづもれて庭のけしきも冬ごもりけり
〔隙もなく 散るもみぢ葉に 埋もれて 庭の景色も 冬ごもりけり〕

紅葉の葉が散って散って、庭がどこも隠れてしまうくらいになったのですね。 庭が全て赤い紅葉ですから、まだ秋いっぱいとも見える景色なのですが、 崇徳院さんは紅葉に埋もれてしまった庭のことを思ったのです。 庭の気持は、紅葉に埋もれて、もう冬ごもりなのだろう。
庭は紅葉で真っ赤ですが、上を見れば木の葉は落ちて、 木の景色ももう冬なのです。 全面紅葉の庭に、冬を見たのでした。「庭の景色も 冬ごもりけり」
さあ、紅葉をいっぱい楽しんだら、いよいよ冬の到来です。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087