今月は
2012年 12月は
先月は金沢はほんとに雨ばかりだったような。
晩秋を楽しむ前に急に秋が終わったみたいで、
やはりお天気はその時節が来ないと分かりませんね。
そして、師走が来てしまいました。
12月はたしかに行事とか、することが多いですね。
加えて街へ出れば、もう先月からクリスマスの飾りつけがあって、
年賀状コーナーが大きく出されてたりして、
気忙しさに輪がかかります。(笑) でもまあ、この気忙しいのが
年末気分ということで、それも楽しんで年を越えていきたいと思います。
金花糖も、今年もなんとかここまで来ました。
でも気忙しい師走ですが、金花糖は静かでゆったりとしています。
そしてそんなゆっくりした雰囲気の中で、ぜんざいはいかがでしょうか。
小豆の味がたっぷりの丹波大納言の餡に、
伸びにしっかりと力のある手つきのお餅。とっても美味しいぜんざいです。
ぜひ今月は金花糖で、ぜんざいをご賞味くださいね。
では、雪を詠んだ藤原家隆の歌です。
たにがはのこほりだにあるやまざとに人もおとせぬけさの白雪
〔谷川の 氷だにある 山里に 人も音せぬ 今朝の白雪〕
谷川の 氷さえある 山里に 人の音もない 今朝の白雪
この山里は、谷川の水の音がいつも聞こえてるんでしょうね。
それが冬になると氷って、どれくらい氷ったのかは分かりませんが、
とにかく水の音が聞こえなくなってしまうのです。
そして今朝は、人の音もしない。
誰の訪れ(音づれ)もないということもありますし、
またいつもなら、人の少ない山里でもたまに歩く人の音や、
あるいは働く人の活動する音がなんとなく聞こえるのだと思います。
それが今朝は、しーんとしているのです。山里に、雪が積ったのですね。
ほんとに雪が積もると静かです。
夜中、風にかさかさと何か飛ばされたような音がしてたり、
ぱらぱらぱらと霰の音がしたりしてたのが、
ふっと静かになって・・・ 風も止んで天気がよくなったのかなとか思ったりするのですが、
窓を開けてみると、真っ白です。
気がつけば、普通にはないような静かさです。
きっと近くの音だけではなくて、
ふつう遠くから、なんとなく聞こえているような車の通る音とか、
そんな雑音まで吸収されて消えてしまうんでしょうね。
谷川のような、自然の音が消え、そして人の音も消えた。
「氷だにある 山里に 人も音せぬ 今朝の白雪」、
雪が作り出す静かな世界が詠まれた、美しい歌ですね。
次は、大晦日に詠まれた藤原敦忠の歌です。前書きがあります。
御匣殿(みくしげどの)に、何年も言い寄り続けていたのですが、
逢えないで、その年の大晦日に歌を届けました。
物思ふとすぐる月日もしらぬまにことしはけふにはてぬとかきく
〔物思ふと 過ぐる月日も 知らぬ間に 今年は今日に 果てぬとか聞く〕
思い悩むと 過ぎる月日も 知らぬ間に 今年は今日に 終わってしまうとか聞くのです。
大晦日となると、ひとりでに一年を振り返るような気持になるものですが、
敦忠さんは、恋の物思いがずっと心に掛かり続けた一年だったんですね。
逢ってもらえないわけですから、あの手この手の手紙を書いて、
返事を待って・・・・ まだ来ないとか悩んで・・・ そんなことで頭がいっぱいになれば、
たしかに 「過ぐる月日も 知らぬ間に」 となるんでしょうね。(笑)
そういえば年も終わりになると、
なぜかしら今年は早かったとか、なかなか過ぎてくれなかったとか、
年を取ると早いとか(笑) 時間の早さの話になります。
面白いものですね。
でも思うに、一年にはいい事も悪い事も色んなことがあったけど、
それをみんな時間の長さにすることで言わば水に流しているのかもしれません。
そうすることで、新しい年への心の準備をするのでしょう。
物思いに明け暮れた一年も、
「過ぐる月日も 知らぬ間に 今年は今日に 果てぬとか聞く」 、
敦忠さんも、時の流れの話で年を終え、そして新しい年を迎えたんでしょうね。
さあ、年の瀬です。よいお年を!!