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今月は

2024年 11月は

カレンダーもあと2枚ですね。 そして7日が立冬ですから、今月は秋もいよいよ晩秋となります。 晩秋と聞くと寂しくなりますが、秋の美しさは晩秋がハイライト!紅葉の時節です。 古来、春の桜に対し、 どちらがよいかとまで競われようなものは秋の紅葉しかありません。 ですからここは秋の美しさを心ゆくまで堪能して、冬に向かって行きたいですね。
金花糖も、今月からは温かいお餅メニューです。 季節メニューに、ぜんざいと、焼き餅トリオを始めます。 お餅のメニューと言えばもちろん餅が主役です。 金花糖の餅は、職人さんが手でぺったんぺったんついたお餅ですよ。 手つきの餅ですから、伸びに力があって、とっても美味しいです。 だんだん冷え込んでくると、お餅は体が暖まってやっぱり元気も出ます。 今月はぜひ金花糖で、 ぜんざい、 焼き餅トリオのお餅メニューをご賞味くださいね。
では、晩秋を詠んだ式子内親王(しょくし ないしんのう)の歌です。

秋の色はまがきにうとくなり行けど手枕なるるねやの月かげ
《秋の色は 籬(まがき)に疎(うと)く なり行けど 手枕(たまくら)慣るる 閨(ねや)の月影》

籬(まがき)は、竹や細い木で隙間の多いあらく編んだ垣根です。
秋の美しい趣きは 籬(まがき)の眺めにも遠のいて 移り行くけれど 手枕の一人寝にいつもの眺めになる 寝屋の月光。
晩秋の、秋から冬に移って行く趣きを詠んだ歌、味わい深いですね。
秋は美しい季節です。草花もほんとに華やかです。 でもその美しい色も、紅葉が最後です。 紅葉が散ると秋も終わり、木枯らしや雪の冬が来て、華やかな草花の色は消えてしまいます。 この歌を詠んだ式子さんは、外の籬(まがき)に見える美しい秋の様子を眺め楽しんでいたのです。 でも気が付けば、いつのまにかその楽しみが、 手枕で寝る時の月の光になっていたということなのでしょう。
たしかに月の光は、季節が移り草花が枯れても変わらないものです。 でも実は月の見え方というのは、季節によって変わるのです。 太陽は夏に高く、冬には低くなります。 満月は逆で、夏は低く、冬の満月は高い空に見えるようになります。 全てが枯れそして色を失っていく中で、月はますます高く空に光り輝くのです。 だからきっと、月とはなんと素晴らしいものだろう、冬こそそんな思いになるのかもしれません。
加えてですが、月は高い空の方が、寝て見るのに楽ですね(笑) 楽と言うとあんまりなので、 自然に目に入りやすいと言いましょう(笑) すると、 秋の美しさが終われば高い空の月に目が行く、これはちゃんと自然の摂理に合っています。
そう考えると式子さんの感性は、自然の流れに逆らうことなく、身をゆだねるような思いなのでしょう。 式子さんは平安の後期を代表する歌人の一人です。さすが素敵な感性ですね。
「秋の色は 籬(まがき)に疎く なり行けど 手枕慣るる 閨(ねや)の月影」、 秋が終わり冬が来る。まさに、自然の流るるままに詠まれた歌ですね。
さあ、秋も終盤です。だんだんと寒さもやってきて、ここ金沢ではストーブなども出てくる時節ですが、 調子を保ち身も心も元気で行きたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087