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今月は

2021年 4月は

暖かいというのはいいですね。 とにかく寒いというだけで心まで負けるような気がします。 年々、気が付けばそうなっていました(笑) 春は有難いです。 雪が消える、暖かくなる。それだけでも有難いのに、そこに桜です。 桜が咲くと、もう気持ちが違いますよね。 やはり古来、春だ、春だと盛り上がるわけですね。
金花糖も今月は、庭の光が春の明るさです。 そして花も春の花をいけましてお迎えしています。 そこで今月のおすすめは、「抹茶ぜんざい」です。 「抹茶ぜんざい」は、丹波大納言の餡と、 自家製アイスの美味しさをそのままシンプルに楽しんでいただくメニューです。 餡の上にアイスが載って、抹茶の濃茶がかかっています。 彩りに金箔と白玉が添えられ、 濃茶はシロップではなく、お点前で使う抹茶を使っていますので、 餡とアイスの美味しさが深い味わいになっています。 ほんとうに美味しいメニューです。 ぜひ今月は金花糖で、「抹茶ぜんざい」をご賞味くださいね。
では、桜を詠んだ凡河内 躬恒(おおしこうち の みつね)の歌です。 前書きがあります。

だんだんと色あせて散ってゆく桜の花を見て詠みました。

花見れば心さへにぞうつりけるいろにはいでじ人もこそしれ
〔花見れば 心さへにぞ 移りける 色には出(い)でじ 人もこそ知れ〕

花を見ると 心にまで 映って 心も移ってしまう。顔色には出さない、あの人が分かってしまうからね。
面白い歌ですね。移るには、花が色褪せる、散るという意があり、 また心変わり、心が他に移るの意があります。
まあ躬恒さんはこのとき別の新しい女性が気になっていて、 そんな精神状態で花が色褪せて散っていくのを見ると、 自分の心変わりもどっと進むような(笑) そんな感じがしたということでしょうか。 それにしても「色には出でじ」、顔色には出さないという言葉、効いてますね(笑)
心の中で、二つの気持ちが引っ張り合ってどちらにしようかと迷って分からない時、 ふと何かを見て気持ちがすーっとこちらに動いたとか、 そういうことはありますよね。 ちょっとしたことがきっかけで動くことも多いですが、 特に桜を見るといろいろ心が騒ぐというのが日本人ですね。 満開の桜を見れば心も晴れて、 そして色あせて散っていく花を見れば、 移り変わっていくのが世の中だから・・・ 新しい恋人にとか思うわけです(笑)
実は躬恒さんには、毎日のように逢ったりとか面白い歌を詠み合ったりという親友がいました。 歌人として知られた紀貫之です。 そういう友達が楽しく詠み合う歌を見てみると、 普通の歌とは違って、仲のいい友達同士の会話のようなやりとりです。 思うに、どうもこの歌も、話し相手が貫之さんかとかは全く不明ですが、 そんな友達とのやりとりで、
「花が散っていくのを見てると、どんどん気持ちも移って行くので困ってね。」
「お前は気が多いからな。自分が悪いんだよ。」
とか言いながら詠まれたような気がします(笑) 「花見れば 心さへにぞ 移りける 色には出(い)でじ 人もこそ知れ」、 春が来て、とにかく桜を見ると心が浮(うわ)ついしまってねと、まあ春ならではの、そういう歌ですね(笑)
さあ、四月になりました。春の光が力をくれるような気がします。春モードで元気に行きたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087