今月は
2004年 1月は
あけましておめでとうございます。
お正月、いかがですか。今月は金花糖もお正月らしく、特別メニューに、
お雑煮をいたします。もちろん金沢風のです。
出しにお餅、あとは薬味だけのシンプルなのが、金沢のスタイル。
それに自家製の香の物が付きます。
金花糖で、金沢のお正月気分をお楽しみくださいね。
さて、1月といえば行事の一つに、七草がありますね。
平安の頃には、若菜といいました。七日の場合もありましたが、
1月の初めての子(ね)の日という場合もあったようです。
源氏物語にも、その日の場面があります。光源氏、四十歳の正月でした。
正月二十三日、子の日なるに、左大将の北の方、若菜まゐりたまふ
<正月二十三日、その日は子の日なので、左大将の奥様が、(源氏に) 若菜をさしあげられる >
この左大将の奥さんは、玉鬘(たまかづら)さんといって、 源氏が養父なのです。しかし、かって、なんとその 源氏から恋心を打ちあけられ、何かあやしい関係(笑)のうちに 左大将の奥さんとなったという方でした。その玉鬘さんが、正月の縁起ものを持って、 久しぶりに来られたのです。しかも、生まれた二人の子供連れでした。 もう恋は許されないのですが、
年月隔てて見たてまつりたまふは、いと恥づかしけれど、 なほけざやかなる隔てもなくて、御物語聞こえかはしたまふ。
<何年かぶりでお会いさせていただくことは、 ほんとに気恥ずかしいのだけれど、 やはりはっきり隔てを置くこともなく、互いに親しくお言葉を交される。>
源氏は、またなんとなく近づきたいような雰囲気です。(笑) しかし玉鬘さんは、
若菜さす 野辺の小松を ひきつれて もとの岩根を いのるけふかな
と、せめておとなび聞こえたまふ
<若葉が芽ぐむ野辺の小松のような二人の子供をひきつれて、
その根本である祖父のあなた様のいつまでも変わらぬことを、
お祈りにあがった今日なのです
と、つとめて大人らしくして申しあげる。>
玉鬘さんは、今日はお祝いに上がったのですから、
恋心はおこさないでくださいねと、歌と態度で釘をさしたのです。
賢い方ですね。源氏もそれ以上は近づきませんでした。(笑)
でも、こういう歌で微妙な思いが伝えられる、ほんとうにすごく優雅な世界ですね。
源氏物語、お正月の恋のやりとりでした。
今年が、素敵な年になりますように!