今月は
2017年 11月は
冷えて来ました。
虫の声もあまり聞こえなくなって、
夜になると毎日窓にへばりついて、そっと蛾に近付いてパクッといっていたヤモリさんも、
いつのまにか姿を見せなくなりました。
ここ金沢では、そろそろストーブを出して冬の準備です。
秋もここまで来てしまいました。
今月は7日が立冬です。
晩秋ということで、やはりいっぱい楽しんでおきたいですね。
金花糖も今月は、いよいよ温かいお餅メニューです。
季節メニューに、ぜんざい、焼き餅トリオを始めます。
お餅のメニューといえば主役はやっぱりお餅。
金花糖のお餅は、職人さんが手でぺったんぺったんついたお餅です。
手つきの餅は、伸びに力があります。とっても美味しいお餅ですよ。
だんだんと冷え込んでくると、やっぱりお餅は体が暖まって元気が出ます。
今月はぜひ金花糖で、ぜんざい、焼き餅トリオのお餅メニューをご賞味くださいね。
では、紅葉の時節を読んだよみ人知らずの歌です。
吹く風の色のちくさに見えつるは秋のこのはのちればなりけり
〔吹く風の 色の千草(ちくさ)に 見えつるは 秋の木の葉の 散ればなりけり〕
吹く風の いろんな色のあるように 見えてしまったのは 秋の木の葉の 散ったからでしたよ。
これは想像ですが、この歌の時は風が急に吹いて、いきなり色々な木の葉が舞い散って来たのです。
その瞬間、いろんな色のある風に見えてしまったということではないでしょうか。
自分の経験ですが、車を運転しているときに、
急にビニール雨合羽の自転車が路地から飛び出したのを見て、
急ブレーキを踏んだことがあります。
でもそれは、ビニールのシートが路地からの風で飛んで来ただけのことでした。
やはり急に何かあると、瞬間すごい見まちがいをする時があります。
この歌は事故が起きそうになったとかそんなのではないですから、
まあ大したことではありません(笑) でも実は落葉だと分かったとき、
やはり秋の趣、秋らしいなーという感動があったと思います。
確かにこんな見間違いなら、毎日でもOKです(笑)
千草はいろんな草花の色ということですが、
落葉はもちろん茶色に黄、赤ですから暖色系の色です。
しかし瞬間のことですから、空の青も目に入るかもしれませんし、
とにかくいろんな色で綺麗だったわけです。
「吹く風の 色の千草に 見えつるは 秋の木の葉の 散ればなりけり」、
秋は紅葉が綺麗なのはもちろんですが、落ち葉の茶色も深いいい色ですよね。
それが空に舞えばほんとに美しいです。
まさに晩秋の趣いっぱいの歌ですね。
次は、秋の終りを詠んだよみ人知らずの歌です。前書きがあります。
紅葉の散り積もった木の本で。
もみぢばはちるこのもとにとまりけり過行く秋やいづちなるらむ
〔もみぢ葉は 散る木(こ)の本に 止まりけり 過ぎ行く秋や 何方(いづち)なるらむ〕
紅葉の葉は 散る木の根元に 止まっているのだなー。過ぎ行く秋、どちらの方向なのだろう。
紅葉が散ったら、ほんとに秋もおしまいです。
でも秋が行ってしまうのは惜しい、
秋は何処へ、どちらの方へ行ってしまうのか・・・ よみ人知らずさんのそんな気持ちが伝わってきますね。
この歌のポイントは、まず木から落ちても根元でじっと動かないままの紅葉と思います。
秋も終わりと木は紅葉を散らせて行く。
しかし紅葉は、まだ秋だ、秋のままでいたいと根元を動かないでいる。
この紅葉の思いが自分の思いなのだ。
よみ人知らずさんには、そんな風に見えていたのではないでしょうか。
もちろん秋は必ず終わる、それはよく分かっています。
それなら秋はどっちの方向に行ってしまうのか。
よみ人知らずさんの思いは尽きません。
「もみぢ葉は 散る木の本に 止まりけり 過ぎ行く秋や 何方(いづち)なるらむ」、
昔は紅葉が最後の色、秋の終わりは、美しい自然の色の終わりという思いでした。
そんないろいろ思いが重なって、まさに秋を惜しむ気持ちがいっぱいの歌ですね。
さあ、冬の足音も聞こえてきます。ここは、美しい晩秋を堪能したいです。