今月は
2010年 8月は
大雨は大変でしたが、でも梅雨は意外と早く明けましたね。
いやあ、それにしても暑いです。
猛暑日も大変ですが、真夏日が普通みたいに続くというのもなかなか大変。
とにかく水分を取って、思うより早めに休むことが大事だそうです。
でも無理は禁物とはいえ、夏は夏休みやお盆の休暇もあって、楽しいことがいっぱいです。
やっぱりいっぱい楽しんで、そして夏を乗り切って行きたいですね。
今月の金花糖も夏、夏、夏の明るい雰囲気がいっぱいです。
庭の緑もほんとに濃くなって、さわやかに夏気分を楽しんでいただけます。
そして夏メニューといえば、氷とくずきりです。
氷は、丹波大納言の餡との組み合わせがほんとに美味しいです。
くずきりは、吉野本葛を使ったものですので、
くずきりの美味しさを十分に楽しんでいただけます。
本葛のみで作ったくずきりは、時間とともに固くなってしまうので作り置きができません。
少しお時間をいただきますますが、
くずきり本来の美味しさを楽しんでいただければと思います。
蜜は黒蜜、抹茶蜜の2種類お出ししています。
暑い日には、ぜひくずきりをご賞味くださいね。
では、夏を詠んだ紀貫之の歌です。
夏の夜のふすかとすれば郭公なくひとこゑにあくるしののめ
〔夏の夜の 臥すかとすれば ほととぎす 鳴くひと声に 明くるしののめ〕
夏の夜は、横になったかと思うと、ほととぎすの鳴くひと声で明ける・・・ ひと声で
ポンと簡単に明けてしまう、そんな感じがするというのです。
面白い歌ですね。夜がいかにも短いという感じです。
「しののめ」は、夜が明けようとする頃をいいますが、夜明け頃、
つまり朝(あした)になるまでの時間を表わす言葉は、
暁、曙、東雲(しののめ)と色々あります。
暁は、夜中は過ぎたけれどもまだ夜明け前の暗い頃です。
曙は少し明けてきて、なんとか色が分かるようになる頃。
我々は夜も電気の光があるので忘れがちですが、
月の光では当たっているところが白く見えるだけで、色は分かりません。
曙は夜が明けてきて、色の世界が表れ始める頃です。
そして、歌にある「しののめ」は、その二つにまたがっているような時間帯、
暁の終わり頃から明け始めた頃までをいいます。
それにしても、朝になるまでの時間の分け方が細かいですね。どうしてでしょうか。
その頃の恋人たちは、男が日が暮れてから女のもとに行き、
夜が明ける前に別れて帰るというのがマナーでした。
明るくなってから別れて出てゆくのは、見苦しいことでした。
ですから、できるだけ一緒にいたい二人が分かれる時間は、
夜が明けてきたけれどまだ暗い間となります。
微妙な時間ですね。(笑) 朝までの時間の分け方が、
細かくなるわけです。(笑) 「しののめ」は、
まさに夜を過ごした二人が別れる時間なのでした。
「臥すかとすれば ほととぎす 鳴くひと声に 明くるしののめ」・・・ この夜は、
恋人どうしの時間でした。
あ、もうお別れの時間だ!! その夏の夜は、
ま、ひと声で明けてしまったんでしょうね。(笑)
夏の夜と、恋の気分がさらっと、でもぴたりと表わされた歌ですね。
次は、1100年前の女房だった伊勢の歌です。前書きがあります。
撫子(なでしこ)のきれいなのを、お隣に届けるということで
いづこにもさきはすらめどわがやどのやまとなでしこたれにみせまし
〔何処にも 咲きはすらめど 我が宿の 大和撫子 誰に見せまし〕
《どこにでも 咲きはしているでしょうけど 我が家の 大和撫子 誰に見せましょうか》
家に撫子がきれいに咲きました。
それをお隣さんにおすそ分けです。
歌を添えて・・・ きれいに咲いたので、どこでも咲いてるものですが、
誰に見てもらうかなと思いまして。
1100年前、こんなご近所付き合いをしてたんですね。
珍しいものではありませんけどとか、そんな言葉を添えるのは今と同じです。
でも、それを歌にするところが優雅ですね。
「大和撫子 誰に見せまし」・・・ 誰に見せたらいいだろうか、
歌はここまでですがここまで言えば、
せっかくなら趣の分かる人にとか、
いつもお世話になってるお隣さんに、というような意はひとりでに伝わりますね。
だから伊勢さんのお隣さんも、「いやあ、それはどうも」 とか言って
喜んでくれたのではないでしょうか。
そんな楽しそうな光景が、目に浮かぶような歌ですね。
さあ、夏本番。楽しいことがいっぱいあるといいですね。