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今月は

2009年 4月は

お花見です。桜の時節がきましたね。
桜が咲く頃になると、「ここにも桜がある」とか、「この木は桜だったんだ」とか、 あらためて日本には桜の木がほんとに多いと思います。 町の小さな児童公園だったり、学校の運動場だったり、 もうこの十日ほどのためにみんな桜を植えたのですよね。 テレビでも毎日、今日はここが七分咲き、満開は何日頃と、 ニュースの時間になれば必ずやっています。 桜にこれだけエネルギーを注いでいる国は他にないでしょう。(笑) でも桜は どれだけあっても、やっぱりいいものですよね。(笑)
今月の金花糖も、庭からの光も明るくなって、春らしい少し賑やかな雰囲気です。 お花見や春のお出かけの際には、ぜひお寄りくださいね。 そして金花糖での一服には、紅茶あんみつはいかがでしょうか。 丹波大納言の餡、自家製アイスに、 紅茶寒天が入っただけのシンプルな味わいが大好評です。 ぜひ、金花糖で紅茶あんみつをご賞味くださいね。
では、桜を詠んだ赤染衛門(あかぞめえもん)の歌です。 赤染衛門は、千年前、紫式部と同じ頃の女房です。

ふめばをしふまではゆかんかたもなし心づくしの山ざくらかな
〔踏めば惜し 踏までは行かむ 方もなし 心尽くしの 山桜かな〕

山桜が咲くと、遠くから見ても桜のあるところが白く見えて、 あそこは美しい桜がいっぱいだ!! と花を見に行くのです。 そしてほんとに美しかった、枝の桜はもちろん、 花が散り敷かれた山路までも!! しかし踏むのが惜しいほど美しい、 でも踏まないではどの方向も行きようがない・・・
「心尽くし」は、物思いに心をすり減らすことです。 桜は、咲く前にはいつ咲き始めるのかと気にかかり、 咲けば咲いたで、天気が悪かったり風が吹いたりで、すぐに散ってしまわないかと心配です。 そして美しい山桜を見にくれば、どう行けばよいのかと迷いに迷わせる。 ほんとうに、心尽くしの 山桜かな・・・ 桜への思いが見事に詠まれた歌ですね。
桜は、散っているのもきれいですね。 そのころに詠まれた紀貫之(きのつらゆき)の歌です。 紀貫之は1100年前の歌人です。

桜ちる木のした風はさむからで空にしられぬ雪ぞふりける
〔桜散る 木(こ)の下風は 寒からで 空に知られぬ 雪ぞ降りける〕

《桜散る 木の下風は 寒くはなくて 空には縁のない 雪が降ってるよ》

桜が散っている。その木の下を吹く風は寒くはなくて、 空を見上げれば、冷たくなくて美しいそんな知らない雪が降っているよ。 美しいですねー。
「空に知られぬ雪」は大空に散る花、空が全く知らない雪であり、 空に舞う見知らぬ雪、寒くないのに降る雪です。 「風は 寒からで」と詠み、散る花を「雪」に例えることで、 春とともに冬が浮かんで春の柔らかな暖かさと美しさがすごく感じられます。 「木の下風は 寒からで」、 空に雪のように舞い散るのは花なのです・・・ 冬からほんとうに春になった、 暖かい、美しい、そんな喜びが伝わってきます。 空に知られぬ雪が降る、素晴らしい歌ですね!!
さあ、春になりました。そして昔も今も、桜、桜の時節ですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087