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今月は

2019年 4月は

今年はやはり春が早いですね。 なんといっても桜の開花が早いのですが、雑草の勢いも違います。 今頃もうこんな伸びて来るのかな、とか思ってしまいます。 まあ、去年と違いすぎるせいかもしれませんが。 そういえば去年はとにかく大雪でしたが、 ほんとに春になってくるとあの大雪が日を追って消えて行って、春の力はすごいと思いました。 今年は、桜も雑草も草花に、何か春の勢いを感じます。 ここはその勢いに乗って、ぜひ元気な春で行きたいです。
金花糖も、今月は庭からの光もやはり春の明かるさです。 花も春の花でほんとに春の雰囲気いっぱいです。 お花見のお帰りには、ぜひ金花糖でゆっくりされてはいかがでしょうか。 そしてそんなときの一服のおすすめは、「抹茶ぜんざい」です。 「抹茶ぜんざい」は、丹波大納言の餡と、 自家製アイスの美味しさをそのままシンプルに楽しんでいただくメニューです。 餡の上にアイスが載って、抹茶の濃茶がかかっています。 彩りに、金箔と白玉が添えられます。 濃茶はシロップではなくて、お点前で使う抹茶を使っていますので、 餡とアイスの美味しさが一段と深い味わいになっています。 ほんとに美味しいメニューです。 ぜひ今月は金花糖で、「抹茶ぜんざい」をご賞味くださいね。
では、桜を詠んだ藤原良経(よしつね)の歌です。

あはれなる花のこかげのたびねかなみねのかすみのころもかさねて
〔あわれなる 花の木陰の 旅寝かな 峰の霞の 衣(ころも)重ねて〕

深い趣のある 花の木陰の 旅寝だなー 峰の霞の 衣を重ねて。
これは贅沢な時間ですね。 満開の桜の木陰に寝ていると、自分が桜に覆われてしまったような感じがしたのでしょう。 そしてその桜の向う、花の間から空の霞が見えたのだと思います。 それは、遠くの峰から続いている春霞でした。 良経さんは詩人です。 そのとき、自分が桜に包まれ、 そしてその上に峰から流れ来た霞を重ねて着ているような感覚が浮かんだのではないでしょうか。
衣を重ねると言っても、今の我々は何か重ね着に特別な感じはしませんが、 昔の人は、衣をどう重ねて着るかはファッションの重要項目でした。 重ねは襲(かさね)とも書きますが、袖口や襟元の色あいだけでなく、 下に着た色が少し透けて見えるその組み合わせが大事でした。 色の組合せには名前もあって、 例えば桜襲といえば、下に赤を着て上に重ねて白を着ます。 白地に、下の赤が薄く見えることで桜の趣を表したのです。 素晴らしいセンスですね。
この歌の良経さんも、そんな重ねのセンスで歌を詠んだに違いありません。 下に桜の衣を着て、上に霞の白を重ねるのです。 春霞の白地に、桜がぼんやりと見える。 なんとも言えないほど素敵な重ねですね。 「あわれなる 花の木陰の 旅寝かな 峰の霞の 衣(ころも)重ねて」、 空に見えるのは、春霞を背景にした桜です。 その光景の美しさに、重ね着の想像が重なって、 これは桜の美しさに浸るような歌ですね。
さあ、春の真ん中です。 ほんとに心も弾むような(笑) このままずっと居たいですが、 そうもいかないので(笑) いっぱい味わっておきたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087