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今月は

2018年 7月は

今月は梅雨明け、ついに夏が来ますね。 まあ夏は暑いですが、ずっと金沢で育ったせいか晴れが多いのは嬉しいです。 冬場東京とかに行くと金沢にはありえない、ぱーっと晴れた青空が続いて本当にいいなーと思います。 ですから蒸し暑いのはうんざりとは言え、夏の晴天や明るさはそれだけで嬉しい感じです。
また暑い夏は、冷やしたスイカや桃が美味しいですね。 そして石川県のフルーツといえば今やブドウです。 去年、7月にあった初競りで石川県のルビーロマン1房の最高額は111万円だったそうです。 もちろんそんな高いのは食べたことはありませんが(笑) でも夏から秋にかけてのブドウもほんとに楽しみです。 夏はどうしても暑い、健康に注意とかなるわけですが、やはりここは楽しむことを忘れないで行きたいです。
金花糖も、今月は夏メニューになります。 中頃までは大変好評のわらび餅を続けまして、 折を見て、くずきり、氷の夏のメニューにいたします。 くずきりは、吉野本葛を使ったもので、ほんとに美味しいですよ。 本葛のくずきりは、時間が経つと固くなるものですから作り置きができません。 ですから必ずご注文をいただいてから作っています。 少しお時間をいただきますが、くずきり本来の味わいを楽しんでいただけます。 蜜は黒蜜、抹茶蜜の2種類をお付け致しますので、お好みで味わっていただけます。 今月は金花糖で、ぜひくずきりをご賞味くださいね
では、七夕を詠んだ小弁(こべん)の歌です。 小弁は、平安時代に後朱雀天皇の皇女などにお仕えした女性です。

  七月六日に詠みました

ひととせのすぎつるよりもたなばたのこよひをいかにあかしかぬらん
〔一年(ひととせ)の 過ぎつるよりも 織女(たなばた)の 今宵をいかに 明かしかぬらん〕

一年の 過ごしてきた日々よりも 織女は 今宵をどんなにか 明かすのに耐え切れないような思いだろう。
七夕の前の日の夜、これはほんとに女性ならではの思いです。
昔は、日本では必ず男の方が女の家に来るという風習でした。 女性の方は待つ身です。 そこで小弁さんは、きっと自分のさんざん男に待たされた経験から、 一年を待ち続けてついに明日の夜となったら、 これはその夜の精神状態はどんなだろうと思ったわけです。 そこまで真剣に考えなくてもいいわけですが(笑) でも想像すると女性としては思い浮かんでくるのでしょう。
七夕の、一年に一度だけ天の川を挟んだ二人が逢えるというお話は中国から来たものですが、 その中国の話では天の川にカササギが羽を広げて橋を掛けて、 そこを渡って来るのは織女の方でした。
でも日本では、お話が男の牽牛、つまり彦星の方が来ることに変わってしまいました。 今でも色んな行事がバレンタインでもハロウィンでも、日本へ来れば日本風に変わりますね。 まあ昔からそういうものだったようで、 でも昔の人にしてみれば、 男が来るのでなければいくら伝説とは言っても、たしかに話に気持ちが乗らないでしょうね(笑)
結局そういうこともあって、小弁さんは織女の気持になって歌を詠むことができたわけです。 「一年(ひととせ)の 過ぎつるよりも 織女(たなばた)の 今宵をいかに 明かしかぬらん」、 織女は、もうすぐだとか何かはしゃいでいるのではなくて、 じっと平静さを保とうと努めているような姿が浮かびます。 七夕の前日、彦星と織女の伝説にまさに思いを込めた歌ですね。
さあ、一年もついに後半に入りました。 夏の楽しみは何でしょうか。 なんとか梅雨を乗り越えて、やはり夏は楽しく行きたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087