今月は
2013年 9月は
秋の気配がありますね。
やはりお盆が過ぎた頃から、少しずつ違ってきてるような気がします。
そして今月は19日が中秋の名月です。
秋分も23日ですから、まあまだ暑い日もあるんでしょうけど、
今月はいよいよ本格的に秋になってくる月ということですね。
金花糖も今月は、合いのメニューに切り替わる月です。
まだ暑いうちは夏メニューですが、折を見て合いメニューに致します。
そして秋に入る今月には、「抹茶ぜんざい」はいかがでしょうか。
「抹茶ぜんざい」は、丹波大納言の餡の上に自家製アイスが載り、
そこに抹茶の濃茶がかかっているシンプルなメニューです。
ポイントは、濃茶がシロップではなくて、お点前で使う抹茶を使っていることです。
ですからシンプルありながら、深い味わいのメニューになっています。
彩りには、金箔と白玉が添えられています。
餡とアイスの美味しさに深さが加わって、ほんとに美味しいですよ。
今月は金花糖で、ぜひ「抹茶ぜんざい」をご賞味くださいね。
では、秋を詠んだ慈円の歌です。
日にそへて秋のすずしさつたふなり時雨はまだし夕ぐれのあめ
〔日に添へて 秋の涼しさ 伝ふなり 時雨は未だし 夕暮の雨〕
日とともに 秋の涼しさは 伝わるのだろう。 時雨に未だなっていない 夕暮の雨。
暑かったり涼しかったりしていても、やはりだんだんと涼しくなってくる。
ほんとに日とともに、秋の涼しさも伝わってきている感じです。
そして夕暮にさっと雨が降って、そこで一瞬、時雨かなと思ったのではないでしょうか。
時雨は、晩秋から初冬の、降ったり止んだりの小雨をいいます。
ですからかなり寒そうな雨のことですね。
歌語としての季節は時代によって少し違いますが、
とにかくほんとに寒くなれば雪ですから、その前の時節の通り雨のことをいいます。
この歌の「夕暮の雨」は、そんな寒そうな雨ではなかったんでしょう。
慈円さんは、涼しさはまだまだ雨には伝わっていない、
でも日が経つにつれて雨にも伝わり、そして深くなって行き、
また寒そうな時雨が降ることになるのだろう、
そんな思いが浮かんだのだと思います。
「日に添へて 秋の涼しさ 伝ふなり 時雨は未だし 夕暮の雨」、
秋になった、そして今から秋も深まって行く、そんな思いを
夕暮の雨に感じた歌ですね。
次は、月を詠んだ崇徳院の歌です。
玉よする うらわの風に そらはれて ひかりをかはす 秋のよの月
〔玉寄する 浦廻(うらわ)の風に 空晴れて 光を交はす 秋の夜の月〕
真珠がうち寄せている 入りくんだ海岸の風に 空は晴れて 光を行き交わす 秋の夜の月。
息をのむようなと言うんでしょうか、そんな光景ですね。
入りくんだ海辺ですから、波はほんとに静かと思います。
そして夜、月が出ていなければ、まさに真っ暗な場所であるはずです。
そんな海岸に、静かに真珠がうち上げられている。
そこに、澄みきった月の光があたるわけです。
その真珠の放つ光は、言いようもないものであったろうと思います。
いま真珠といえば、もちろん養殖で作られたもので、
我々が見るのは装飾品となっているものでしょう。
その真珠が、静かな海の海岸に、ひっそりとあるのです。
そして月は、その真珠のあることを知っているかのように、
光を交わし合っている。
これほど幻想的な歌はないかもしれません。
「浦廻(うらわ)の風に 空晴れて 光を交はす 秋の夜の月」、
美しい想像がきりなく浮かぶような、素晴らしい歌ですね。
さあ、秋です。昼はもちろん夜長の楽しみもあって、いい時節をいっぱい楽しみたいですね。