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今月は

2014年 1月は

あけましておめでとうございます。
新しい年です。 今年は土日が上手く入ってお休みも長いですから、なおさらお正月気分で過せそうですね。 ただ正月気分といっても、子供の頃は正月はほんとに普通の日と全然違ってましたが、 今は色々お店も開いてるし、 子供の頃は日頃は継ぎの当たった服でも普通でしたけど、とっくにそんな時代でもないですから、 まあお正月といってもあまり変わらないことになるのかもしれません。 それでも日頃逢えない人に逢えたりとか、何かが違ってお正月という気分は湧いてきます。 やっぱりいいものですよね。(笑)
今年は、金花糖も丸14年、いよいよ15年目に入ります。 本当にお蔭さまとしか言い様がありません。 ただ、だんだんと寄る年波ということもありまして(笑) 今年からは定休日を 火曜、水曜の2日にさせていただきたいと思っています。 金花糖は 餡、アイスクリームをはじめ多くのものが自家製で、 その味に少しずつ工夫を重ねてきたのですが、 これからもそれは変わらず続けてまいります。 またこれからも、よろしくお願いいたします。≦(_ _)≧
では、新春を詠んだ藤原俊成の女(むすめ)の歌です。

朝日さす三笠の山の雲井より霞みそめたる千世の初春
〔朝日射す 三笠の山の 雲井より 霞み初めたる 千世の初春〕

朝日射す 三笠の山の 雲のあたりから 霞み始めている 千年までもと祝う初春。
おめでたいです!! お正月らしいお祝いの歌ですね。
この霞は、春ならではの春霞です。 新春ですから、少し春霞が見えるようなと、年の初めを祝っているわけです。 お正月によく使われる掛軸は初日の出ですが、 それも朝日が昇りそしてやはり少し霞が掛かってますね。
ところでお正月ですが、1年の初めをどの季節のどんな日にするかということは、 昔の人にもいろいろ意見はあったのではないでしょうか。 しかし暦というのは、何よりも農業のために重要なものでしたから、 春は芽生えそして若葉の季節、夏には盛んに生い茂り、 そして稔りの秋が過ぎ冬には枯れ果ててゆくということで、 普通は春の初めに年の初めを置くというのが自然な発想と思います。 それで日本もそうですが世界の多くの国で、立春の頃が旧暦のお正月となっているのでしょう。 昔のローマの暦も今の3月1日が正月でした。
それから農業は、昔は天候に大きく左右されました。 だから何よりありがたいのは、ちゃんと春が来て春は春らしく、夏は夏らしくということだったと思います。 だからこそ年の初めには、春がちゃんと来ていることを歌い、 そしてそれがいつまでも続くことを歌うのが、お祝いとして大切なことだったのではないでしょうか。 この歌を詠んだ俊成の女さん、その時代を代表する歌人の1人ですから、 さすが抜かりはありません。 「朝日射す 三笠の山の 雲井より 霞み初めたる 千世の初春」、 これはまさに、本当におめでたい歌ですね。(^0^*
次は、在原棟梁(むねやな)の歌です。 棟梁さんは伊勢物語で知られる在原業平の長男です。

白雪のやへふりしけるかへる山かへるがへるもおいにけるかな
〔白雪の 八重降り敷ける 帰山(かえるやま) 返る返るも 老いにけるかな〕

白雪の 何重にも広く一面に降り積もった 帰山(かえるやま) 年も返りまた返り、 かえすがえすも 老いたものだなー。
年が返って、そして新年となるのはいいんですが、 また年をとるんですよね。(笑) そして年は一年一年少しずつ行くはずなんですが、 なぜかある時ふと、年をとったなーと感じてしまいます。不思議なものですね。
加えて白髪!! これはもう光の加減で年がいったように見えるとか、そんなものではありません。 間違いなく年です。(笑) 白髪が増えてくる年齢になると、 もう何でも白いものを見れば白髪のことが浮かぶわけで(笑) まして雪は頭に降るわけですから、 これは思い浮かぶも何も、 白髪!! 年!! まずそれが浮かぶといってもいいくらいです。(笑) 棟梁さんも、 色々そんな思いから、こういう歌が浮かんだということではないでしょうか。
帰山というのは、福井県の今庄あたりにある山だったようです。 山といっても低いもので、今の地図では名前の付いてない丘らしいです。 その帰山のある今庄ですが、冬に金沢から車で関西の方に行くと、 一番雪の多いのがこの今庄のあたりです。 昔の旅で、こんな深雪地帯を通るのはほんとに大変だったろうと思います。 そんな深雪地帯に、丘のような帰山という面白い名前の山があるわけです。 「白雪の 八重降り敷ける 帰山」、まさにそんな思いだったんでしょうね。 そして「帰る」と「雪」から、年をとったなーとつながったわけです。 「返る返るも 老いにけるかな」、残念なことに、 だんだんこういう歌が分かるようになりました。(笑)
さあ、お正月。あらためて、今年がよい年でありますように!!

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087