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今月は

2021年 11月は

今月は秋終盤、冬も近しなんですが、気が付けばカレンダーも薄くなりました。 だんだんと冷えてきて、日もますます短くなって何か寂しい感じですが、 カレンダーまでこんなに薄くなって、ついつい元気もしぼみがち。 しかし、ここはやはりその季節季節を楽しんで、元気に行きたいものです。 今月は春の花に対する秋の紅葉ですね。 そして日も早く暮れますが、秋は夕暮れ、秋は夕方の空がほんとに綺麗です。 秋の終わりをいっぱい楽しんで、そして冬に向かいたいですね。
金花糖も、今月からは温かいお餅のメニューです。 季節メニューに、ぜんざいと、焼き餅トリオを始めます。 お餅のメニューといえばもちろん餅が主役。 金花糖の餅は、職人さんが手でぺったんぺったんついたお餅です。 手つきの餅は伸びに力があって、とっても美味しいです。 だんだんと冷え込んでくると、お餅はやっぱり体が暖まって元気が出ます。 今月はぜひ金花糖で、 ぜんざい、 焼き餅トリオのお餅メニューをご賞味くださいね。
では、秋の夜を詠んだあの小野小町の歌です。

秋の夜も名のみなりけりあふといへば事ぞともなくあけぬるものを
〔秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを〕

秋の夜も 夜長とか名前だけでした!逢うと言いまして、それで こんな事があってとかもなく ほんとに明けてしまったのですから。
いやー小野小町さん、不満たらたらですね(笑)
まあ秋の夜といえば月もきれいで、 しかも夜長ですから時間もたっぷりあってと、 夜をゆっくりと過ごすにはいちばんいい時節と思います。 ところがところが小町さんせっかく逢ったのに、全然盛り上がらなかったんですね。 昔の日記や物語などから行くと、夜に男と女が一緒になればそれは寝るもので、寝ないなんて考えにくいです。 ですから小町さんも寝たとは思うんですが、 せっかく逢って寝たのに、何でこんな盛り上がらないのということなのでしょう。 私の魅力に問題があるわけはない!すると秋の夜が悪いのかというところでしょうか(笑)
小野小町といえば、クレオパトラや楊貴妃と並ぶ美人の代名詞です。 クレオパトラは、ローマの英雄シーザーやアントニウスを次々と虜にして愛人となり、ローマの歴史を変えた人、 また楊貴妃は、唐の玄宗皇帝の御側に入り後宮の美女三千人の寵愛を一身に受け、唐を傾けた人です。 しかし小町さんはそんな歴史を変えたような人ではなく、生涯はあまり明らかではありません。 でも女性らしい熱の込められた歌を数多く詠み、大スキャンダルの美人ではなく、 歌人として活躍した美人として歴史に残ったのです。
その昔の小町さんの姿を想像して描かれた絵も色々ありますが、 いちばん知られているのは、やはりこの後姿のですね。

小野小町

美人を描くのになんで後姿なのかということになりますが、 枕草子に、絵にかき劣りするもの(絵に描くと本物より見劣りするもの)という下りがあります。

絵にかき劣りするもの、なでしこ、菖蒲(しょうぶ)、桜、 物語にめでたしと言ひたる男 女(おとこ おんな)のかたち。(枕草子 / 清少納言)

「かたち」は容貌、美貌のことですが、さすが清少納言、 本物の桜、そして本物の美人の魅力を絵から出すのはたしかに難しい。 それに美人の形というのは時代によって大きく違いますから、 時を越えて見られる絵となると、後姿が理にかなっているということでしょうか。
「秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを」、 普通なら秋の夜に八つ当たりしても様になりませんが、 小野小町さんならそれも様になる。 やっぱり美人は違う、という歌になりますかね(笑)
さあ秋も奥に入ります。夜長に浸って、読書よし映画よし、 いやいや YouTube よし、今はインターネットも存分に楽しんで行きたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087