今月は
2018年 5月は
気持ちのいい時節になりました。
5日は立夏、
そして今月はここ金沢では、ついに暖房も冷房も要らなくなる時節です。
ストーブを片づけると部屋もスッキリして、
今年は雪が多かったですからね、ありがたみも違う感じがします。
立夏ということは気温はまだまだですが、明るさや日の長さは夏なのです。
朝起きるともう本当に明るいです。元気も出ます。
空も高くなったような気分です。
今月は何はなくとも明るく元気で行きたいですね。
今月の金花糖は、五月は端午の節句ということで、しつらいは兜を飾ってお迎えいたします。
そして寒くもなく暑くもなくのこの時節、 おすすめメニューに紅茶あんみつはいかがでしょうか。
紅茶あんみつは、濃いめアールグレーの、紅茶寒天を主役としたあんみつです。
ベースに紅茶寒天がたっぷり入って、
その上に丹波大納言の餡と、自家製アイスが載せられます。
色どりには、苺、キウイと生クリームが添えられて、固定ファンの多い、大変好評のメニューです。
特製の白蜜が付きますので、お好みの甘さで紅茶寒天の味を楽しんでいただけます。
今月は金花糖で、ぜひ紅茶あんみつをご賞味くださいね。
では、ホトトギスを詠んだよみ人知らずの歌です。
郭公なくこゑきけばわかれにしふるさとさへぞこひしかりける
〔ホトトギス 鳴く声聞けば 別れにし 古里さへぞ 恋しかりける〕
ホトトギス 鳴く声を聞いたら、あの時に別れた 昔一緒に過ごしていた所までも 恋しくなったなー。
ホトトギスの声を聞いて、昔の恋の思い出がよみがえった。
かつての心の傷が尾を引いているのかなとか思ってしまいます。
でも昔の人は、何よりこれはホトトギスの鳴く声のせいだと思ったのです。
記憶というのは、いつもは何も思い出すことがないようなすっかり忘れてしまっている事が、
何かを見てとかその感触とかで、ぱーっと思い浮かんでくることがあります。
昔の人は、ホトトギスの鳴く声が悲しみの極みのように聞こえて、
そのためにその鳴く声を聞くと、胸の底に沈んだままだった思いが湧き上がってしまうのでした。
もちろん聞けば必ずというわけではなかったとは思いますが、
聞くと恋心が強く刺激されてしまったのです。
ホトトギスの鳴き声は 「きょきょ、きょきょきょきょ」 みたいな声で、
今は 「特許許可局」 とか 「テッペンカケタカ」 と聞こえてあんまり趣はありません。
でも昔は、小鳥が悲しくて叫んでいるように聞こえました。
しかもすごく情熱的な声に聞こえたのだと思います。
それは昔の人の心を動かし、人恋しさを湧き上がらせてしまう声でした。
まさに忘れていた恋の思い出が、よみがってきたりするわけです。
それなら昔の人はホトトギスの声を切なくなるので嫌がったかというと、そうではないのです。
聞きたくて聞きたくて、渡ってくる初夏の頃を心待ちにしていました。
思うに、昔は単にホトトギスの声を楽しむのというのではなく、
その声で人恋しい気持ちになり色んな思いが湧いてくる、
そんなことの全てがこの季節の趣であり、季節感だったのではないでしょうか。
この歌も、まさにそのホトギスの季節感を味わっているように思えます。
「ホトトギス 鳴く声聞けば 別れにし 古里さへぞ 恋しかりける」、
胸の底から湧き上がった昔の恋の思い出は、あの過ごしていた所までが恋しいと思う。
ホトトギスの時節を詠んだ、素敵な歌ですね。
さあ、五月です。服も軽くなって外出も気軽です。
恋の思い出はともかくとして(笑) いい時節をいっぱい楽しみたいですね。