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今月は

2018年 2月は

先月は寒に入って、どかんと雪が来ました。
一晩でどんと積もると、まず車が出せません。 雪かきをしてやっと車を出しても、除雪車が来ない道で雪にはまったりするともう動かない。 JAFや保険のサポートに連絡しても、大抵いっぱいで明日でないと行けませんとか言われます。 前に実際にそんな事があった時、 急遽、知り合いに救助の電話をしたら油圧ジャッキを持って駆けつけてくれました。 車の下の雪をかき出して、ジャッキで車を上げて、 タイヤの下に厚い木の板を挟んで・・・・ 発進!! なんとか脱出できました A^_^;) ほんとに雪は大変です。 今月は、暦どおりに春が来てほしいです。
そして今月の金花糖は、まだ冬の静かな雰囲気です。 ストーブもまだまだボーボーと盛んに燃えています。 こんな時のおすすめはやはり力の出るお餅のメニューで、焼餅トリオはいかがでしょうか。 焼き餅トリオは、職人さんがペッタンペッタンついた手つきのお餅を、 三種の味で味わっていただくメニューです。 海苔を巻いた磯辺まき、丹波の黒豆きなこを使ったあべかわ、 そして抹茶味の三つの味がセットになっています。 ゆったりと落ち着いた雰囲気で、ぜひ焼餅トリオをご賞味くださいね。
では、冬の月を詠んだよみ人知らずの歌です。

おほぞらの月のひかりしきよければ影見し水ぞまづこほりける
〔大空の 月の光し 清ければ 影見し水ぞ 先(ま)づ氷りける〕

大空の 月の光が 汚れなく澄みきっていたので 光を見た水が まず氷ったのだ。
澄み切った、まさに冷え冷えとした月の光です。 よみ人知らずさんは、その月を見て素晴らしいと思い、 そしてある水面に映った月の姿にも澄み切った光を見て感激したのでしょう。 すると、夜がどんどん冷え込んで来て、その月が映っていた水がまず最初に氷ったのです。
もちろんそれは偶然です。 でもよみ人知らずさんは、 水が、映した月の光に自分と同じ思いを持ったのではないか。 だから、まずその水が氷ってしまったのだと、 そんな想像が浮かんで心が動いたのだと思います。
でも、ある水面が他より先に氷ったというのは、なぜそんなことが起きたんでしょうか。 それはおそらく、冷え込んでくる場合、水よりも土の方が先に温度が下がるためではないでしょうか。 ですから大きな池とかでは、周りの地面に近い方から氷って、真ん中の方は後に氷ります。 ということは水の体積の割に、地面に多く接しているような水面が早く氷るということです。 よみ人知らずさんが月を映して見たのは、たまたま小さめの浅い水面だったのでしょう。 だから、まず最初に氷ったわけです。
あの水も同じように感じて、自分の心を分かってくれた。 これは本当は誤解です(笑) でも、それを水の心と思えるのがやはり詩人ということでしょう。 「大空の 月の光し 清ければ 影見し水ぞ 先(ま)づ氷りける」、 ここは、詩人に自然の粋な計(はか)らいがあったのだ、ということで(笑)
次は、春の雪を詠んだ源国信の歌です。

春日野のしたもえわたる草の上につれなくみゆる春のあは雪
〔春日野の 下萌え渡る 草の上に つれなく見ゆる 春の淡雪〕

春日野の 芽が僅かに出てポツポツと青いものがずーっと見えている そんな草の上に 知らん顔に見える 春の淡雪。
早春ですね。 土から僅かに顔を出した芽が、ぽつぽつぽつと遠くまで広がって見えて、 そこに春の淡雪であちこち雪が覆っているという景色でしょう。 そして国信さんは、あんな小さな芽の上に無情にも雪は平然と乗っている、と思ったわけです。
「春日野」は、奈良市の東、春日山のふもとの野です。 「下萌え」は、分からないように芽が出ることで、僅かに見えるだけとか土の下で芽生えていることです。 こういう「下」に、人に分からないようにという意味のある言葉は、 昔は 「下恋」 とか 「下燃え」 とか色々あったようです。 今でも、「下心」 と言えばそういう意味ですね。
でも国信さんの、そんな出てきたばかりのまだ可愛い芽の上に、 平気で雪は乗ったままでいるよという気持ちも分かりますが、 若い芽は、必ずそれを乗り越えて春の野原になるのです。 「春日野の 下萌え渡る 草の上に つれなく見ゆる 春の淡雪」、 雪の心をつれないと詠んではいますが、 下萌えの芽が広がった野に、春の淡雪。 これは、何よりも美しい早春の景色が詠まれた歌ですね。
さあ、今月は節分そして立春です。 まだまだ寒暖はありますが、早くウグイスの声が聞きたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087