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今月は

2004年 10月は

10月は衣更えです。制服とかも冬服になって、いろんな景色が 秋になるのです。金花糖も夏メニューが終り、今月から冬メニュー が始まります。ちょっと久しぶりの、焼き餅トリオ、またお楽しみ くださいね。
さて今の時期は、空が澄んで月がほんとに綺麗ですね。でも清少納言は、 こんな月の美しさも書いています。

いつも、すべて、池あるところは、あはれにをかし。・・・ わざと つろひたるよりも、うち捨てて水草(みくさ)がちに荒れ、青みたる 絶え間絶え間より、月かげばかりは、しろじろとうつりて見えたるなどよ。

<いつでも、すべて、池のあるところは、あわれで趣がある。・・・ ことさらに 手を入れてあるよりも、うち捨ててあって、水草が生えがちに荒れ、 青っぽくなった水面の絶え間絶え間から、月の光だけは、白々とうつって 見えたなど、もうほんとに。>

清少納言は、月の光が、荒れた池に写っているのが素晴らしいというのです。 想像してみると、それは確かにすごい眺めですね。いつもいつも、 ほんとに鋭い感性です。
そして平安時代というと、 つい優美で繊細なものばかりが好まれていたように 思うのですが、こういう荒れた古池のようなものがいいというのも 意外な感じですよね。でも荒れた古池といえば、芭蕉の有名な句が 出てきます。

古池や 蛙(かはづ)飛こむ 水のをと

この句の解釈はいろいろあるようですが、芭蕉は、 清少納言が書いているような古池の趣を、自分の「わびさび」の美学で、 改めて書き表わしたのではないでしょうか。 それで古池には華麗な月ではなく、蛙を。 古池に蛙、ただの鄙びた取り合わせとしか思えないものに、 清少納言や先人が見ていない趣、 「わびさび」という趣が見えたのです。 これが、古来趣があると書かれている古池の、新しい美だ! この句の意は、芭蕉のそんな思いではないでしょうか。
秋の夜長、ゆっくりと、いろんな思いを楽しめる季節ですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087