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今月は

2023年 6月は

いい時節ですが、でも今月は梅雨入りですね。 例年ここ金沢では10日ごろに梅雨入りとなって、来月の20日すぎに明ける感じです。 ただ去年は今月、6月の末にもう梅雨明けという発表がありました。 でもその後、実はまだ梅雨だったということになって(笑) 結局、 梅雨明けは不明ということになりました! でもそういうことは時折りあるそうで、 気象庁の方も大変ですね(笑) とにかく梅雨入り、 気分で負けないように、明るく行きましょう。
今月の金花糖は、梅雨にはすっきりメニューで、わらび餅をいたします。 わらび粉は、れんこんのでんぷんを使ったものですよ。 きなこは、黒豆きなこで、 すごく美味しいわらび餅です。 そして自家製の黒蜜がかかっています。 自家製の黒蜜は、とても美味しいと評判をいただいています。 また特製冷茶付きですから、梅雨のじめじめ気分にはほんとにぴったり。 今月は金花糖で、ぜひわらび餅をご賞味くださいね。
では、五月雨の時節を詠んだ賀茂成保の歌です。前書きがあります。

月光の下にほととぎすという心を詠みました。

五月雨の雲のはれまに月さえて山ほととぎす空に鳴くなり
〔五月雨の 雲の晴れ間に 月冴えて 山ほととぎす 空に鳴くなり〕

この歌は、古文と言っても今の言葉と変わらないように見えるんですが、 ちょっとそうでもない言葉があります。 最後の「空に鳴くなり」、この「なり」には、 見えなくてもその音が聞こえて分かる という意があるのです。
ですからホトトギスの姿はたとえ見えてても、 とにかく鳴く声に存在感があったのでしょう。 それは声が、空に響いた、響き渡ったのではないでしょうか。 月の光が冴えて澄み切って、鳴く声が空に響く、まるで梅雨じゃないみたいですね。
梅雨は季節としては、始まる時は初夏で、明ける頃には夏は盛りになっています。 それで気象学的には、梅雨の晴れ間の時というのは、初夏のような天気だったりとか、 来る夏の空が先に見えるような天気だったりとか、そういうことがあるそうです。 梅雨でないような空が表れることも確かにあるわけです。
五月(さつき)晴れという、気持ちのいい天気を表す言葉がありますね。 それはもともと五月雨の晴れ間、つまり梅雨の晴れ間のことを言いました。 梅雨といえばしっとり湿って、空気までも重く、音もどんよりとばかり思いがちですが、 そこでこの歌の成保さんは、梅雨にはこんな趣もありますよと詠んだわけですね。 「五月雨の 雲の晴れ間に 月冴えて 山ほととぎす 空に鳴くなり」、 梅雨時の空に月光が冴え、ホトトギスの声が響く。 今年の梅雨は、ぜひ本当の五月晴れの趣きも味わってみたい、 そんなことを思わせてくれる歌ですね。
さあ、梅雨入りです。 梅雨は後半が、特にじめじめ感が来て気力も落ちるような気がします。 でもそれも梅雨の趣ということで、乗り切っていきたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087