今月は
2018年 3月は
先月も初めに大雪が来て、ほんとに大変でした。
連日雪かき雪かきでしたが、
しかし雪が多くて捨てる場所すら無くなって、
ついには、雪をより高く積み上げて行くしかないようなことになりました。
もう、あきらめて家に篭ったままということにもなりましたが(笑) オリンピックで、
スノボの平野君や、入神の羽生君を見て心も晴れました。
いよいよ今月こそは、春、春、春で行きたいですね。
金花糖も、今月はようやく冬眠から目覚めまして、
おひなさまを飾り、春の気分でお迎えいたします。
メニューも今月は毎年恒例の特別メニューで、ひなまつりパフェをいたします。
ひなまつりパフェは、短冊に切ったスポンジケーキに金花糖の餡や苺が添えられた、
ほんとうに春らしいパフェです。
スポンジケーキは自家製で、そのしっかりした味わいを生かしたパフェになっています。
毎年大好評のメニューです。
この三月は金花糖で、是非ひなまつりパフェをご賞味くださいね。
では、梅を詠んだ藤原扶幹(すけもと)の歌です。前書きがあります。
年老いて後、梅花を植えて、明くる年の春に思う所があって
うゑし時花見むとしもおもはぬにさきちる見ればよはひ老いにけり
〔植ゑし時 花見むとしも 思はぬに 咲き散る見れば 齢(よはい)老いにけり〕
植えた時 花を見ようとも 思わずに、咲きそして散るのを見て・・・ 積み重ねて来た年が老いになったのだなー。
これは自分の老いの時を改めて思った歌です。
それは年齢よりも、自分の体や物の見方とか感じ方など、
そういった所から何か浮かぶものがあったのでしょう。
自分の老いをどう感じるか、どうとらえるかは本当に人それぞれです。
ただ、昔は長生きの人は本当に希でした。
漢詩にあるように
人生七十古来稀 〔人生 七十 古来希なり〕 (曲行 二首 / 杜甫)
その頃は乳幼児の死亡率が非常に高く、
そのため平均寿命はおそらく三十代だったろうと思います。
そして、
その不安の多い子供時代を過ぎて十五とか二十まで行った人だけが人生五十年くらいだったのでしょう。
昔は四十になると、長寿を祝いそしてより一層の長寿を願って四十の賀というお祝いをしました。
今でも四十は初老と言いますね。
そして、源氏物語で理想的に描かれているはずの光源氏でも五十代で亡くなっています。
きっと、それで充分に長寿だったのです。
この歌の扶幹(すけもと)さんは、なんと数え七十歳まで生きた方でした。
古来希な方だったのです。
扶幹さんは梅花を植える時でも、花を見ることは思わずまず植えることそのものを楽しみ、
そして咲いた花も、散る花も見て楽しむ、そんな老境になっていたのではないでしょうか。
「植ゑし時 花見むとしも 思はぬに 咲き散る見れば 齢(よはい)老いにけり」、
これはまさに Let it be 〔あるがままに〕 という思いに至り、
そして老境を悟ったという歌と思います。
淡々として深い味わいの歌ですね。
次は、桜を詠んだ伊勢の歌です。前書きがあります。
斎院の屏風に、絵に山道を行く人のある所を詠みました。
ちりちらずきかまほしきをふるさとの花見て帰る人もあはなん
〔散り散らず 聞かまほしきを 古里の 花見て帰る 人も逢はなん〕
散った散らない 聞いてみたいのだけれど 故郷の 花を見て帰る 人に逢えるものならば逢いたい。
故郷の桜を見に帰るんですね。
いろんな思い出もあるでしょう。やはり咲いているのをほんとに見たいんでしょうね。
でも、今のような桜情報なんてあるはずもなく、咲いているはずとか見当を付けて行くしかありません。
見てきた人に逢えないものかと思いながら山道を行くのです。
昔は、今と違って離れた所の桜がどうかとかは分かり難いものでした。
今なら暦と、その年の寒暖からでも大体は分かるわけですが、昔は旧暦ですから1年12か月が10日程も短いのです。
つまり暦が毎年10日程ずれるのです。
その修正は、うるう月で、ある月を2度続けることでやっていました。
ですから年によって3月が2度あったりするのです。
そうなると、暦と寒暖からあそこの桜は今年はこうだろうとか考えるのは難しかったわけです。
ところでこの歌は、屏風歌と言って屏風の絵を見て詠まれた歌です。
その屏風は、詠んだ歌が屏風に書き込まれて出来上がりになります。
この歌でも、絵は前書きにあるように山道に人が行く所が描かれているだけです。
そして屏風に書き込まれた伊勢さんの歌では、
その山道を行くのは故郷の花を見に行く人で、
もう散ってしまったのではないかとか思いながら歩いているのです。
絵に歌が合わさることで、想像が色々に浮かびやすくなって、
すごく楽しめるものになるわけですね。
「散り散らず 聞かまほしきを 古里の 花見て帰る 人も逢はなん」、
日本人は、人それぞれに桜に対する思いがあります。
故郷の桜を思う人を詠むことでそれぞれ自分の桜への思い、故郷への思いが浮かびます。
これは、ほんとうに素敵な歌ですね。
さあ、春です。春一直線で!(笑)