今月は
2004年 6月は
菖蒲、紫露草、つつじ、草花がきれいですね。
でも6月は、梅雨。
梅雨の頃は、なんとなく気もめいりがちになるものですが、
元気を出していきたいものですね。
金花糖ですが、今月から、爽やかに夏メニューになりますよ。
夏のメニューでは、わらびもちがおすすめ!
さらっとした味わいが夏らしく、本当に美味です。
ちょっと目立たないメニューだけに、特におすすめしたいと思います。
さて、梅雨、五月雨(さみだれ)、鬱陶しい時節なんですが、
その時節ならではの思いが浮かぶ頃でもあるのです。
和泉式部の、梅雨に詠まれた歌です。
五月雨は 物おもふ事ぞ まさりける 眺めのうちに 眺めくれつつ
<梅雨は なによりも物思いが増すのです 眺め続けて また 眺め 日は暮れながら>
「眺め」は、長雨の意を利かせています。梅雨は、気も沈みがち。
恋の物思いはつのり、長雨を眺めたまま、思いも解けぬままに、
日も暮れてゆく。思いつめてはいるのだけど、何かぼんやりとしたまま
1日が終わってゆく、そんな梅雨の日の雰囲気が、すごくよく感じられますね。
次は、式子内親王(しょくしないしんのう)の歌です。
五月雨の 雲はひとつに 閉ぢ果てて ぬき乱れたる 軒の玉水
<梅雨の雲はぴったり 空を閉じきって 乱れ散る玉のような 軒の水>
美しい歌ですね!そして、「空」と「水」に、自分の心が
詠われているのでしょうか。きっと心は、「閉じ果て」「乱れ」ているのです。
それにしても、この憂愁な思いを感じさせる歌が、なぜこんなにも
美しいのでしょう。梅雨の眺めを、こんなに美しいと
感じさせる歌はないでしょう。
空を覆う灰色の雲を、式子内親王さんは、
「雲はひとつに 閉ぢ果てて」と詠っています。
青く明るい空の光が小さくなって行き、ふっと閉じられる瞬間が
思い浮かぶような、空が、青い光と灰色の二重(ふたえ)になっていることが
浮かぶような詠み出しなのです。
それだけでも、色々な思いを込めた美しさを感じます。そして
軒の水が、糸を抜いた玉のように、乱れ散る。タメイキの出る美しさですね。
いよいよ雨、雨・・・美しい梅雨の季節です。