今月は
2014年 8月は
毎日暑いですね。湿気て蒸したような日は特に体に応えるような気がします。
それにしても、これが四季なんですが、
冬の寒いときのことを思うとよくここまで暑くなるものだと何十年経っても思います。
ほんとに自然の力は大きいです。
四季は楽しめる面もあれば、やはり都合の悪い面もあって、
とにかく夏も大変ですがうまく乗り切って、夏も楽しめるようにしたいものですね。
金花糖も今月は、いっぱいに夏です。
庭の緑もやはりいちばん濃い時節です。
そして今月のメニューでは、やはり氷がおすすめ。
金花糖の氷は、なんといっても餡の美味しさが特別です。
丹波大納言の餡に、冷たい氷がとても美味しいです。
氷金時と、美味しい抹茶蜜の氷宇治金時も、毎年大変好評です。
暑い夏は、ぜひ金花糖で、氷金時、氷宇治金時をご賞味くださいね。
では、蝉を詠んだよみ人しらずの歌です。
うちはへて 音をなきくらす 空蝉の むなしき恋も 我はする哉
〔うち延へて 音(ね)を鳴き暮す 空蝉(うつせみ)の 空しき恋も 我はするかな〕
ずーっと止まずに 声を立てて鳴き暮す 空蝉のように 空しい恋も 自分はしているなー。
空蝉は、蝉の意と、その抜け殻の意があります。
今は街などで、蝉が日中ずーっと鳴いてるなんてことはないですが、
木がいっぱいある所に行けば今でも蝉の声が絶え間なく聞こえます。
蝉の声はけっこう耳障りで(笑) 昔は夏は日が昇ると蝉が鳴き出すのが聞こえて、
ほんとにずーっと鳴いていたのを憶えています。
そしてよみ人しらずさんは誰かとの恋に悩んでいたんですね。
まぁそういう時は、何を見ても何を聞いても、その人のことが浮かんでくるわけです。
絶え間なく鳴いている蝉の声。そういえば、自分もずっと泣いているよ。
自分の心はあの蝉の抜殻みたいだ。
まあね、人生にはそんなこともあるよとか、
年を取ったせいか気楽に思うんですが(笑) 本人の気持ちは大変と思います。
でもそんなときであっても、この歌は夏の季節感いっぱいに詠まれています。
「音を鳴き暮す 空蝉の 空しき恋も 我はするかな」、
切ない恋の嘆きだけど、夏がいっぱい。
やはり季節の思いを大切にする、日本人の感性ですね。
次は、九条良経(よしつね)の歌です。
ふるさとのいた井のしみづとしをへてなつのみひとのすみかなるかな
〔古里(ふるさと)の 板井の清水 年を経て 夏のみ人の 住みかなるかな〕
昔懐かしい所の 木の井戸の清水も 年を経て 夏だけ人の 住みかになっているのだなー。
夏でも水がほんとに冷たい井戸なんですね。
そういえば昔、井戸水で冷やしたスイカがすごく冷たくて美味しかったのを憶えています。
その井戸水のところに足を入れてたら、ほんとに冷たくて長く入れて居られなかったです。
クーラーも冷蔵庫も無い時代、冷たい水の出る井戸は夏には大人気だったでしょうね。
古里は、必ずしも生まれ故郷でもなくて、かつて住んでいたり、馴染みだったりした所です。
とにかく昔の懐かしい場所ということで、
木の板の井戸なんてほんとに年月を感じさせるものと思います。
しかし昔馴染んだ場所が、
それこそ人影もなく荒れたままというのだったらほんとに寂しいものと思います。
でもここは年月を経ても、冷たい澄んだ水が変わらず出ていたんですね。
それで人が来てくれているというのは、良経さんやっぱり嬉しかったのではないでしょうか。
「古里の 板井の清水 年を経て 夏のみ人の 住みかなるかな」、
冷たい井戸水の夏の涼感、そして年を経て変わるもの、変わらないもの。
いろんな思いが浮かぶ素敵な歌ですね。
さあ、夏も盛りです。
井戸水の趣はありませんが、冷房を上手に使って暑さを乗りきりたいです。