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今月は

2005年 10月は

日の暮れるのも早くなりましたね。もう朝晩は涼しいのですが、 今月は日中も涼しく気持のよい天気になってきます。 今月の異称は小春です。 小春日和は晩秋から初冬にかけての晴の天気のことですが、 秋のよく晴れた日というのは、ほんとに春にも似た気持よさあります。 加えて秋は、何か爽やかな天気になりますよね。
金花糖も、今月から冬メニューです。 月初めはまだ夏メニューですが、時節を見て涼しくなる頃に冬メニュー にかわります。
冬メニューといえば、焼餅トリオ、ぜんざいですが、どちらも お餅の美味しさが決め手です。金花糖は、手で搗いた餅を使っています。 手搗きならではの腰のあるお餅、 その美味しさを味わっていただければと思います。
では、秋の和歌を。大弐三位(だいにのさんみ)の歌です。 彼女は紫式部の娘。 まずこの歌に前書きがあります。
権中納言の藤原定頼(さだより)がどこかへ行く道に、門の前を通って、 荻(おぎ)の葉を結んで過ぎていったので歌を送りました

なほざりに 穂末(ほずゑ)をむすぶ 荻の葉の おともせでなど 人のゆきけん

<なおざりに 穂先むすんで 荻の葉の おとづれもせず 人が行ったよ>

「おともせで」の「おと(音)」は、挨拶とか訪問の意味があります。 そして「荻の葉の音」という意も掛けています。
大弐三位さんは、定頼さんとお付き合いがありました。 荻の葉を結んだだけで、葉の音もしないし 挨拶もなしで誰か通りすぎて行ったみたいです・・・ そんな人がいるんですよ!と、 ちょっとからかって歌を送ったというわけでした。 面白いですね!!
次は、和泉式部の歌です。

なく虫の ひとつ声にも きこえぬは こゝろごゝろに ものやかなしき

<鳴く虫は 同じ声にも 聞こえない 心それぞれ 悲しみがある>

虫の様々な声、まったく違う声もあれば僅かに違う声も。 それは虫の「心々に」、それぞれの悲しみがあるからなのだ。 深い、深い思いです。 それは、秋という季節だからこそ生まれるものかもしれません。 秋の夜長は、いろんな思いが湧きそうですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087