今月は
2005年 11月は
今年は残暑がほんとに長く続きましたね。でもようやく涼しい日が続く
ようになりました。金花糖も先月の半ばから、冬メニューとなりました。
そして、暖か~い鯛焼きも始まりました。
金花糖の鯛焼きの特徴といえば、やっぱり丹波大納言の餡です。
それは小豆の味がたっぷりする餡なのです。
甘さや味わいも、鯛焼きに合ったものにするために、
クリームあんみつなどに使う餡とは別に焚いてつくっています。
風もだんだん冷たくなってきています。
ぜひ、小豆の美味しさいっぱいの、金花糖の鯛焼きをお楽しみくださいね。
では秋の和歌です。
玉葉集 秋歌(あきのうた)下にある藤原為子の歌。
花の色は かくれぬ程に ほのかなる 霧の夕(ゆふべ)の 野べのをちかた
<花の色は 隠れない程 ほのかなる 霧の夕べの 野辺の遠くは>
美しい!!
霧がかかっているけど、秋の草花の色は薄っすらと見える。
そしてそれが、遠く遠くまで広がっているのです。
その広がりの美しさ、ほんとにためいきの出るような眺めですね。
次は、俊成女(としなりのむすめ)の歌です。
葛の葉の うらみにかへる 夢の世を 忘れがたみの 野べの秋風
<葛の葉が 裏見え返る あの頃を 忘れ形見の 野辺の秋風>
この歌は、掛詞によって意味が二重に重なるようにが詠われています。
「うらみにかへる」は、葉の裏が見えるように返る意と、
恋の思い出、その恨みに帰るという意を掛けています。
また「忘れがたみ」は忘れ形見のほかに、忘れ難いという意も持っています。
葛の葉が風に裏返っているの見ると、あの恋の思い出が甦ってくる。
忘れがたい、この野辺の秋風。
記憶は、失われたと思っていても、いろんなことから甦ります。
紅茶とマドレーヌの味覚からかもしれないし、
紅葉の頃の舞からかもしれない。
俊成女は、秋風が葛の葉を裏返すのを見ると思いが甦るのです。
この秋、あっと何かが甦るかもしれませんね。期待して。(笑)