今月は
2007年 8月は
8月がきました。真夏、いちばん暑い時節ですね。
体にはなかなか応える月かも。
でも夏休みには楽しいこともあって、一年の思い出に残る月ですよね。
金花糖も、つゆ明けが遅かったので、
今月から本格的に夏メニューでお待ちしています。
夏らしいメニューといえば、くずきりが浮かぶ方も多いのではと思います。
金花糖のくずきりは、吉野本葛を使ったもの。
本葛のみで作ったくずきりは、時間とともに固くなっていくので作り置きができません。
少し時間はかかりますが、くずきり本来の美味しさを楽しんでいただけるものと思います。
蜜は黒蜜、抹茶蜜の2種類お出ししていますので、二つの味をお楽みいただけます。
暑い日には、金花糖で、ぜひくずきりをご賞味くださいね。
では、紫式部日記から、ある夏の日のお話です。
夏の朝早く、紫式部の前に美しい女郎花が差し出されました。
折ったばかり、露も付いていました。
差し出したのは藤原道長、時の最高権力者です。
彼は、天皇に嫁した自分の娘、彰子に、
教養係として紫式部を女房に付けていたのでした。
その道長さんが女郎花を差し出し、
「これで歌を詠んでください。遅くてはいけませんよ。」
と言ってきたのです。
式部は、すぐに硯に向かい歌を書きました。
をみなへし さかりの色を 見るからに 露のわきける 身こそ知らるれ
《女郎花 盛りの色を 見るにつけ 露の付かない 身こそ知られて》
女郎花は、その名前のとおり女性にたとえられる花です。
式部は、その花に付いている露を男性、そして相手の道長に見立てて、
露は美しい花には付きますけど、こんなに美しい盛りの花を見て、
私は露に分けへだてをされる身だと分かったわ、
と詠んだのです。
さすが、ぱっと、そういうふうに歌が詠めるわけですね。
道長さんは、「すごい早い。」と微笑んで、そして歌を返します。
白露は わきてもおかじ をみなへし こころからにや 色の染むらむ
《白露は 分けては置かず 女郎花 心からでしょう 色の染まるは》
露は分けへだてはしませんよ。
女郎花も、心から、美しい色が生まれて染まっているのでしょう。
(あなただって・・・)
うーん!大人のやりとりですねー!!
式部はすでに三十半ば。未亡人でした。
当時、千年前では、すっかり女性の盛りを過ぎていたのです。
でもその教養と理性から出るものに、
道長も特別な魅力を感じていたのではないでしょうか。
それで、女郎花をぱっと見せたりして楽しんでいたのでしょう。
「こころからにや 色の染むらむ」、いいですよね!
さあ、夏の真っ盛り。露と女郎花とか、楽しいことがいっぱいあるといいですね。