今月は
2017年 10月は
もう朝晩は少し寒いです。
そして日がほんとに短くなりましたね。
とにかく、すぐに暗くなる感じがします。
とは言っても毎年今ごろは同じ日の長さのはずですから、
年を取れば(笑)ン十回も経験して分かり切ったことのはずなんですが、
やっぱり思ったより早い。もうこんなに暗いのかと思ってしまいます。
でも、すぐに暮れるということはいよいよ秋の夜長の時節ということで、
今月は4日が中秋の名月です。
まさに読書よし、音楽よし、はたまた映画もよし。
秋の夜長は楽しみいっぱいで行きたいですね。
金花糖も今月は、すっかり秋らしい雰囲気です。
庭の眺めも静かな秋の感じです。
そんな落ち着いた秋の気分には、 紅茶あんみつはいかがでしょうか。
紅茶あんみつは、 濃いめアールグレーの紅茶寒天が主役のあんみつです。
ベースには紅茶寒天がたっぷり入り、
その上に丹波大納言の餡と、自家製アイスが載っています。
そして、色どりに生クリームと苺やキウイが添えられます。
固定ファンのすごく多いメニューです。
特製の白蜜も付きますので、お好みの甘さで紅茶寒天の味わいを楽しんでいただけます。
今月は金花糖で、ぜひ紅茶あんみつをご賞味くださいね。
では、秋を詠んだ藤原菅根(すがね)の歌です。
秋風にこゑをほにあげてくる舟はあまのとわたるかりにぞありける
〔秋風に 声を帆に上げて 来る舟は 天の門(と)渡る 雁にぞありける〕
秋風に 声を、帆のように遠くからもそれと分かるように上げて 来る舟は 大空を渡る 雁なのだなー。
この歌は、大空を海に見立てると、秋風に遠くから帆を上げて来る舟が、
遠くから声を上げて渡って来る雁なのだなー、という意と思います。
もうすっかり秋なのだということが、遠くにあっても分かるなーという思いでしょう。
昔は、季節は花や鳥などを見て確かめるものだったと思います。
もちろん暦はありますが、旧暦は、年によって±15日の違いがあるのです。
最大の幅でなんと30日も違うわけですから大変です。
加えて今年の秋は早いとか遅いとかもありますから、
あてになるのはやはり身近な花や鳥ということになるわけです。
今でも、気象庁は生物季節観測というものをやっています。
あじさいが初めて咲いた日とか、あぶらぜみの初鳴き日とかが各地方ごとに毎年記録されています。
今年、ここ金沢であぶらぜみが初めて鳴いたのは7月21日で、平年より5日遅かったそうです。
やはりその土地での季節を知る方法の一つです。
雁は、秋に日本に来て春に北へ帰るので、二つの季節が分かるものになるのですが、
春はちょうど桜が咲く頃なので正直ちょっと影が薄いです(笑)
秋の方は、秋霧の中を飛んで来たりしますから見えないときもあるのですが、
それでも声は聞こえます。そして高いところからの声であれば、
遠くにいても聞こえてくるわけですから、雁の声は秋も本格的と感じるまさに代表的なものでした。
「秋風に 声を帆に上げて 来る舟は 天の門(と)渡る 雁にぞありける」、
来た来た、雁が来ればほんとに秋です。
そして秋とともに、これは何か季節がめぐって来ることの趣を感じさせる歌ですね。
次は、月を詠んだ藤原有教母(ありのりのはは)の歌です。前書きがあります。
一人、月を見るということを詠みました。
ながむればおぼえぬこともなかりけり月やむかしのかたみなるらん
〔眺むれば 覚えぬことも 無かりけり 月や昔の 形見なるらん〕
なんとなくずっと見ていると 思い出さないことなんて ないのです 月が昔の 形見なのでしょう。
これは、何を必ず思い出すというのでしょうか。
全く想像するしかないわけですが、ここはやはり恋の思い出のような気がします。
そしてそれが恋の思い出と書けなかったのは、よみ人知らずの歌ではないから、
有教母の歌だと分かるからではないでしょうか。
つまり恋の相手が、想像されてはいけない人だからという気がします。
何か勝手にドラマみたいにしてますが(笑)
昔は当たり前ですが電話もクルマもありません。
また平安の頃は、街道も江戸時代のように整備されたものではありませんでした。
そしてまた女性には不自由な時代でしたから、
やはり交友関係は限られたものになります。
恋の相手となると、人によっては想像の付きやすいものだったのではないでしょうか。
有教母さんは、だからこそ何の思い出とも書けなかったのではないかと思います。
「覚えぬことも 無かりけり」は、
思い出せないことは何もない、その時のいろんなこと全てが思い浮かぶという意でしょう。
一人でじっと月を見ていれば、あの恋の全てが浮かんでくる。
「眺むれば 覚えぬことも 無かりけり 月や昔の 形見なるらん」、
これは言わぬが花、だからこそ熱い思いが浮かんでくる、まさにそういう歌ですね。
さあ、秋真っただ中です。
行楽の秋、スポーツの秋、食欲の秋、まあ食欲はほどほどにということで(笑)