バックナンバー

今月は

2006年 9月は

今年の夏はほんとに暑かったですね。 実は8月8日が立秋だったのですが、お盆がすぎてもほんとに暑くて、 立秋も全く何処へ行ったのやら。 でも、日が少し短くなってきましたね。 今から少しずつ、秋らしさも出てくるんでしょうね。
金花糖も、夏メニューは今月まで。 暑い日はくずきりや氷で体を、そして金花糖の、ゆっくりした時間の中で心を癒して いただければと思います。
それから冷たい鯛焼き、冷鯛(ひやったい)がお蔭様で大好評です。 これもぜひお楽しみくださいね。
では、残暑の頃の藤原家房(いえふさ)の歌です。

秋を浅み 照る日を夏と おぼめけば 暮行(くれゆく)空の 荻の上風

《秋浅く 照る日に夏かと 迷うころ 暮れ行く空の 荻の上風》

今は、まさにこういう感じですね。
暑さも残り、日は照っている。 秋とはいっても本当はまだ夏かなと思っていると、日の暮れる頃、荻の上に風が吹く。 その葉ずれの音、そして風の爽やかさ、それはまさしく秋なのでした。
そうやって秋になってくるんですね。 次は、秋の紀貫之の歌です。

秋の野に 乱れて咲ける 花の色の 千種(ちぐさ)に物を 思ふころかな

《秋の野に 乱れて咲いた 花の色の いろいろ物を 思うころかな》

素敵ですね!なにか気品がありますね。
冬は枯野だった野原が、夏は草が深くなり緑に覆われ、 そして秋、色んな花の色が乱れるように咲いた。 その乱れる色に、恋する人はまたあれこれと物を思うのです。
そんな秋の思いが、「千種に物を 思ふころかな」と、 美しくさらっと歌われています。そういう感じがほんとに素敵ですね。
でも秋は、読書の秋、みのりの秋、行楽の秋 ・・・ と、これもいろいろ。 できれば物思いは歌だけにして、楽しい秋でいきたいですね。(笑)

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087