今月は
2002年 6月は
先月は、もう梅雨が来たようでしたね。 芭蕉の梅雨の句に、こんなのがあります。
降る音や 耳も酢うなる 梅の雨
この「耳が酢うなる」は<聞き飽きる>の意で、それが梅雨に
掛かっています。芭蕉の若い頃の句で深い意味はないのですが、
耳が酢っぱくなるというのはおもしろい言い方ですね。
さて金花糖は、今月から夏メニューです。
六月のメニューも、きなこアイスとわらび餅、夏っぽい
ですね。きなこアイスは、食された方からは、香ばしくてすごく
美味しい!と言っていただけるんですが、なぜかあまり知られて
いないメニューです。金花糖のきなこは、丹波の黒豆きなこ。
その味わいが活かされたアイスです。
ところで梅雨は、源氏物語や枕草子の中では、長雨(ながあめ)と
いう言い方になっています。あと、旧暦では五月にあたるので
五月雨(さみだれ)とも言われます。じめじめして、何につけても
よくない季節のように思ってしまうのですが、枕草子には、
その時期は香りが素晴らしいと書かれています。
五月の長雨のころ、上の御局のことのすに、斉信(ただのぶ)の中将の よりゐ給へりし香は、まことにをかしうもありしかな。そのものの香 ともおぼえず。おほかた雨にもしめりて、えんなるけしきの、・・・ またの日まで、御簾(みす)にしみかへりたりしを、若き人などの世に知らず 思へる、ことわりなりや。
< 五月の長雨のころ、上のお部屋の小戸の簾(すだれ)に、斉信の中将が よりかかっておられた、その移り香は、何とすばらしかったことか。 何の香とも思われず、いったいに周囲が雨で湿っていて、何かふかぶか とした魅力があり、・・・次の日まで、移り香が簾に染みかえっていたのを、 若い女房などが、世にまたとないほどにおもった、もっともなことだ。 >
じめじめしているので香りが付きやすい、その移り香が絶妙だというのです。 梅雨にはこんな魅力もあったのですね。清少納言、さすがですね!