今月は
2016年 2月は
先月はこんな楽な雪のない冬は無いなんて思ってたんですが、
大寒に入ってからどっと寒さが来ましたね。
それでも例年よりは雪は少ないのですが、やはりそれまで暖かかったですから、
急に来るとほんとに応えます。
でも今月は、3日が節分で4日は立春。
いよいよ春ということで、ほんとに楽しみにしたいです。
金花糖は、今月はまだ冬ごもり気分の静かな雰囲気です。
こんな時節のおすすめは、やはり力の出るお餅メニューで、焼餅トリオはいかがでしょうか。
焼き餅トリオは、職人さんがペッタンペッタンついた手つきのお餅を、
三つの味わいで楽しんでいただくメニューです。
海苔を巻いた磯辺まき、丹波の黒豆きなこを使ったあべかわ、 そして抹茶味の、
三種の味わいがセットになっています。
ゆったりと落ち着いた雰囲気で、ぜひ焼餅トリオをご賞味くださいね。
では、冬の月を詠んだ平実重の歌です。
夜をかさねむすぶ氷のしたにさへ心ふかくもやどる月かな
〔夜を重ね 結ぶ氷の 下にさへ 心深くも 宿る月かな〕
夜を重ねて 出来る氷の 下にさえ 風流な心の深く 留まって光を映している月だなー。
氷の下に映る月、これは冬ならではの趣ですね。
月が映るのはもちろん反射ですが、
それでも氷の下に見えると何か月が氷の中に入り込んだような、
そんな思いも浮かぶだろうと思います。
でも当たり前ですが、これは氷が透明でなくてはいけません。
白く固まってしまってはだめですね。(笑) 白くなるのは
空気の気泡が閉じ込められてしまうからで、
冷蔵庫の四角い氷で真ん中だけ白くなったりしますが、
あそこに気泡が閉じ込められてしまったわけです。
そして、あんまり急激に冷えると、空気が逃げられなくて白くなりやすいそうです。
この歌の氷ですが、これは歌の雰囲気からいけばたぶん池でしょうね。
そして 「夜を重ね」、ということは季節も進みだんだんと冷え込んで来たということではないでしょうか。
だから急激に冷えてしまうときよりも、水の空気が逃げやすくて透明な氷になりやすかったのでしょう。
実重さんは、氷の下の月がよく見えるなー、という感激があったような気がします。
そこで、月がわざわざ氷の下に深く入り込み、とどまって趣のある光景を見せてくれたような、
そんな気分になったのでしょう。実重さんとしては、
なかなか深い心の月だなーと思ったわけですね。(笑) 「夜を重ね 結ぶ氷の 下にさへ 心深くも 宿る月かな」、
冬も真っ只中、ひえびえとした夜のまさに趣深い歌ですね。
次は、壬生忠岑(みぶのただみね)の歌です。前書きがあります。
春日神社の祭に行きましたときに、
見物に出て来ていました女性の居所の家を探して、歌を詠み送りました。
かすがののゆきまをわけておひいでくる草のはつかに見えしきみはも
〔春日野の 雪間を分けて 生ひ出(い)でくる 草のはつかに 見えし君はも〕
春日野の 雪の間を分けて 生え出てくる 草の僅かに 見えたあなたが・・・。
この草は、雪の間に顔を出しかけている、見えるか見えないかくらいの若草と思います。
僅かに見えただけなのに、そんな若草のようなあなたが忘れられません。
素敵ですねー。
居所の家を探したとかはストーカーみたいですが(笑) 昔にはよくあることでした。
平安の頃の女性は、他の男性に顔を見せるのは恥ずかしいことで、顔は見せませんでした。
見せるのは親や兄弟とか夫婦の間だけで、
男と話すときは、すだれとか衝立越しでした。
歯がゆいですね。(笑) ですから古語の 「見る」 という言葉には、
男女の交わりをする、という意味もありました。
そこで顔を見るから、ということです。
すると、この歌の前書きのような、女性が祭の見物をする時はどうするのかとなりますが、
見るのは行列とかですから、
牛車で出かけて行き、車の入口にすだれを下げて中から見物します。
しかし、
男の方は見よう見ようと思っています。(笑) すだれは風で揺れたりとかすれば脇に隙間も出ますし、
見ようと思っていれば何かで少しくらいなら見えたのだろうと思います。
そうして、歌を送るわけです。
雪の間に僅かに表れた若草のようなあなた・・・
「春日野の 雪間を分けて 生い出でくる 草のはつかに 見えし君はも」、
まさに今の時節も歌われて、上手いですね。
季節感いっぱいの、素敵な恋の歌ですね。
さあ、春分が来ると日も長くなって、やはり春の足音です。
恋の歌までは分かりませんが(笑) 何でも楽しみに行きたいです。