今月は
2013年 1月は
あけましておめでとうございます。
年があけて、やはりなにか気持がいいものですね。
お正月の様子は随分変わりましたが、
この気持があらたまる感じは変わらないもので、不思議な気がします。
たしかに年の初めといっても、ここを初めにするというのは
人が決めたものにすぎません。
でも、日々カレンダーで今日は何日と確かめながら、
春夏秋冬を経て、喜怒哀楽も味わい、
そして新年を迎えるわけです。
きっと、そんな日々の積み重なったものこそが、
年の初めの思いを作るのではないでしょうか。
しかしそう理屈をこねても、やはり不思議な気はしますが。(笑)
金花糖も、数えてみれば今年は14年目となります。
今年もいままでと変わらず、ゆっくり雰囲気でいきたいと思っています。
お正月はいいけれど、なんだかんだのうちに気忙しい日々に戻ってしまうものですが、
そんな時、金花糖でお正月のゆったり気分を取り戻していただければと思います。
今月のおすすめは、焼き餅トリオです。
金花糖のお餅は、職人さんが手でペッタンペッタンついた力のあるお餅です。
焼き餅トリオは、その美味しさを存分に味わっていたくために、
海苔を巻いた磯辺まき、丹波の黒豆きなこを使ったあべかわ、そして抹茶味の
三種の味わいがセットになっています。
ストーブが暖かい部屋から庭の雪見をしながら、そんなゆっくり気分で、
ぜひ焼き餅トリオをご賞味くださいね。
では、新春を詠んだ式子内親王(しょくしないしんのう)の歌です。
うぐひすはまだ声せねど岩そそくたるひの音に春ぞ聞ゆる
〔鶯は まだ声せねど 岩そそく 垂氷の音に 春ぞ聞ゆる〕
鶯は まだ声はしないけれど 岩に注ぎ落ちる つららの音に 春が聞こえる
新春らしいですね。そしてほんとに美しい歌ですね。
たるひ(垂氷)はつららです。歌の伝わっている写本によって、
「たるひ」と書かれているものと、滝の意の「たるみ」(垂水)とあるものがあるそうですが、
今は「たるひ」としました。
鶯が鳴くにはまだ早いけれど、つららから落ちる水が岩に当たる音が聞こえる。
岩に当たるわけですから、音はポツ ポツじゃなくて、ブチ ブチでしょうか。(笑) ほんとに
凍り付いていれば水の落ちる音は聞こえないでしょうし、
また多く溶けるほど、水の落ちるリズムは早くなってくるはずです。
ですから日頃から音に耳を傾けていれば、
つららの音に、春が一歩一歩近づいている!! と感じるわけですね。
でもそうは言っても、今は真冬です。(笑) が、旧暦では、
年によって少し前後はしますが、立春が年の初めでした。
だから新年は新しい春の来たことを祝い、
我々も、年賀状には 「新春」 とか 「迎春」 と書くわけです。
「岩そそく 垂氷の音に 春ぞ聞ゆる」、まだ冬のように思えるけれど、
自然の音に耳を澄ませば、少しずつ来ている春が聞こえる。
新春の到来を詠んだ、美しい歌ですね。
次は、雪見を詠んだ源顕房(あきふさ)の歌です。前書きがあります。
雪見の天皇のお出かけに遅れて、しきりに遅いと使者をいただきましたので詠みました。
あさごとのかがみのかげにおもなれてゆき見にとしもいそがれぬかな
〔朝ごとの 鏡の影に 面馴れて 雪見にとしも 急がれぬかな〕
朝ごとの 鏡の映る姿に 顔を見馴れて 雪見にとかには 急がれないのです。
鏡に映る顔には、白髪があるわけですね。
何をわざわざ雪を見に (-"-;) というわけです(笑)
歌を詠んだ顕房さんは右大臣まで行かれた方です。
そんな方が帝のお供に遅れる、これは大変な失態ではないでしょうか。
加えて、遅い遅いとお使いまで来てしまったのです。
でもこの歌で、帝も笑ってお許しいただくことになったのではないでしょうか。
それにしても、一年一年と歳を取る、
これは誰にも避けられないということはよく分かっているのですが、
服が似合わなくなる、何でもすることが遅くなる、老眼が来る、
ほんとにいいことがないですね。(笑) 特に白髪は、染めればいいとはいうものの、
自分が歳を取ったということを、どうしても認めざるをえない、まさにそういうものですね。
そんな思いはたとえ帝であっても同じこと。
「鏡の影に 面馴れて 雪見にとしも 急がれぬかな」、
ユーモアに少し悲哀も入って、顕房さんの才気が楽しい歌ですね。
さあ、お正月!! 今年も元気で行けますように!!