今月は
2010年 7月は
なんかワールドカップで燃える梅雨となりましたね。(笑)
それにしても、暑い日はやっぱり蒸しますね。
汗をそれほどかいてないつもりでも、何かねたねたして、
とにかくお風呂やシャワーをしないではいられない感じです。
しかも予報では、今年の梅雨は長いとか。7月の末ころなんでしょうか。
この予報は当たらない方がいいんですが。(笑)
金花糖も、今月は氷を始めます。
金花糖のメニューの切り替えは、何月何日からというのではなくて、
時節を見てやっています。例年、氷は梅雨明けを待って始めるのですが、
今年は待っていられないだろうということで、今月早めに始めたいと思います。
氷は、氷金時と氷宇治金時です。
蜜と抹茶の味を吟味して、
丹波大納言の餡の味を活かした味わいになっています。
ぜひご賞味くださいね。
では、1100年ほど前の、蛍を詠んだ読み人知らずの歌です。前書きがあります。
桂の皇女(みこ)が「蛍を捕えて」と言われましたで、
捕えた蛍を童(わらわ)の汗衫(かざみ)の袖に包んで
つつめどもかくれぬ物は夏虫の身よりあまれる思ひなりけり
〔包めども 隠れぬ物は 夏虫の 身より余れる 思ひなりけり〕
夏虫は蛍のことです。
捕まえた蛍を袖に包みました。蛍の光が、袖の上から見えています。
包み隠そうとしても隠せないものは、蛍のように
自分の身に余る、身に収め切れない火のような思いなのです。
うーん上手い!! と言いたくなるような歌ですね。(笑) 「思ひ」の「ひ」は、
火との掛詞になっています。
我々は「思ひ」をオモイと読んでしまうので、
そういう掛詞はあまりピンとこないのですが、
昔は「思ひ」は、オモヒあるいはオモフィと読みました。
「てふてふ」ならチョウチョウではなくて、テフテフと読んだわけです。
ですから袖に包んだ蛍の光を見せながら、
「身より余れる 思ひなりけり」と言えば、
思ひに、火という言葉も浮かんでくるわけですね。
蛍は、前書きにある汗衫(かざみ)という、
その頃の後宮に仕える童女の服、その袖に包みました。
生地の薄いものに包んだということかもしれません。
そしてそれは絹です。
蛍の光には、絹の光沢が添ってより素敵な光に見えたのではないでしょうか。
そこで、「包めども 隠れぬ物は 夏虫の・・・」 演出効果は満点!!(笑) ほんとに
素敵な歌ですね。
次は、式子内親王の夏の歌です。
まどちかき竹のはすさぶ風のおとにいとどみじかきうたたねの夢
〔窓近き 竹の葉すさぶ 風の音に いとど短き うたた寝の夢〕
《窓近き 竹の葉もてあそぶ 風の音に、ますます短い うたた寝の夢》
「うたた寝」はもちろん、寝るとはなしに寝ることなのですが、
平安の頃に詠まれる「うたた寝」は、
昼食の後にお腹が膨れて眠くなるとか、
そんな不粋なものではありません。(笑) 恋の物思いから、
夜も「うたた寝」になったのです。
ですから「うたた寝の夢」で見ているものは、
言わずもがな・・・ 現実で叶わないものならば、
夢の中だけでも浸っていたいものかもしれません。
しかし、見えるのは儚い「うたたねの夢」なのでした。
そして夏の夜は、すぐに明けてしまう。
風を通す窓からは、風がもてあそぶように、
竹の葉がさやさやと鳴ったかと思えば止まり、
止まったかと思えばまたそよめいて物思いの心を揺らす。
「うたたねの夢」はますます儚いものに・・・ 「いとど短き うたた寝の夢」・・・ きっと、
秘めた熱い思いの歌ですね。
さあ、夏よ来いです。それまでは、とにかく健康に注意して!! ということで。