今月は
2009年 5月は
いい時節になりました。寒くなく暑過ぎず、そして爽やかでお休みもいっぱい。(笑)
連休中はまさにゴールデンウィークという感じがします。
花も、つつじや山吹が美しい色で咲き、たらの芽などの山菜も美味しいですね。
ほんとに一年でいちばんいい時かもしれません。
金花糖も今月は、寒くなく暑過ぎずの時節らしく、合いメニューで白玉ぜんざいをいたします。
ぜんざいがお餅ではなく、つるつるの白玉です。
今月は端午の節句ということで、兜を飾り五月らしいしつらいでお待ちしています。
ぜひ、すっきり白玉のぜんざいをご賞味くださいね。
さて、昔は五月五日には、ショウブを飾って邪気を祓うという風習がありました。
ショウブは「あやめぐさ」(菖蒲草)と言われましたが、
あやめぐさと五日ということで多くの歌が詠まれています。
その五月五日に詠まれた後朱雀院の歌です。
あやめぐさかけしたもとのねをたえてさらにこひぢにまどふころかな
〔あやめぐさ 掛けし袂の 根を絶えて さらに恋路に 惑ふ頃かな〕
あやめぐさは、長い根をそのまま長く付けて使われたものでした。
長いのが縁起がよいのです。
その根が切れてしまった!! この歌は、
里へ下がったまま戻ってこられない皇后、禎子という方に送られたものでした。
「根」は、「寝」との掛け詞なのです。
五月五日、袂に掛けた、邪気を祓うあやめぐさの根が絶えてしまった。
あなたとの寝も絶えたまま、「さらに恋路に 惑う頃かな」・・・
悲しい寂しいという歌なんですが、ほんとに優雅ですね。
でもこうなると、禎子さんがどんなお返事をされたのかが気になります。
そのお返事は
かたがたにひきわかれつつあやめ草あらぬねをやはかけむとおもひし
〔方々に ひき別れつつ あやめ草 あらぬ根をやは 懸けむと思ひし〕
《あちこちに ひき別れつつ あやめ草 ではない根をば 懸ける気あった?》
あやめ草ではない根とは、何なのでしょうか。
先の後朱雀院さんの歌の「根」は「寝」の意でしたが、「ね」にはもう一つの意味があります。
音(ね)です。こんな時の「音」といえば、
泣く音(ね)なのです!! あなたは「寝」のないことを嘆いておられますが、
別れている私のことを、泣く「音」と共に心に懸けようと思ってくださったのでしょうか。
問題は「寝」ではなくて「音」でしょう、つまりあなたの心でしょう、と返した歌なのです。
禎子さんの歌のお返事、さすが本質を突いてます。
「あやめ草 あらぬ根をやは・・・」
禎子さんが戻られるのには、
すごく日にちがかかったとか・・・ でも、5月5日のあやめ草を題にして、
優雅で見事なやりとりですね。
さあ、春も後半です。気持ちのいい時節を、いっぱい楽しみたいものですね。