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今月は

2022年 1月は

明けましておめでとうございます。
年が明けて新しい一年です。 去年のことは一旦置いて、また何でもやり直しのような気分になります。 もちろんそうは行かない世も色々ありますが、 それでも春夏秋冬が一巡りして、また新しい春が来る。 それを思うだけでも再スタートの気持ちが出ます。 おめでとうは、本当に素晴らしく という意ですが、 新年で気分一新、やはりおめでたいですね。
そして金花糖は、皆様のお蔭をもちまして5月で22周年を迎え23年目に入ります。 そしてまた自分の年も開店の時には想像出来なかったような年齢になりました。 年ばかりは、ほんとに取ってみなければ分からないものですね(^_^;) もちろん喜びもあれば辛さもありなんですが、こと体に関しては良くないことしかありません(笑) それでも持ち堪えて来れましたのは、美味しかったという皆様のお声に元気を頂いたお陰です。 今年も手作りで、もっと美味しくと工夫を重ねて参ります。 本年もまた金花糖をよろしくお願いいたします。

では、新年を詠んだ九条良経(よしつね)の歌です。

ふゆがれのこずゑにのこるこぞのゆきはことしのはなのはじめなりけり
〔冬枯れの 梢(こずえ)に残る 去年(こぞ)の雪は 今年の花の 初めなりけり〕

冬枯れの 梢に残っている 去年の雪は 今年の花の 初めでしたよ。
新年の歌は、いい事がありますようにとおめでたく詠むものですが、 新しい春が来たら、去年のままの景色が、新春を祝う光景のように見えましたと詠んだのです。 年が明けると見えるものが何でも何かあらたまった感じがします。 不思議なものですね。
冬枯れは、冬に草や樹木の葉が枯れることですが、 秋にも緑の残っていた景色が冬の寒さに耐えきれずついに枯れてしまい、全て茶色の景色になってしまいます。 なんとも寒々としたほんとに寂しい光景ですね。 そしてそこに雪が積もればもう冬いっぱいです。 でも年が明けて、良経さんがその雪の残った景色を見た時、 これが今年の花の初めだと思ったのでした。
ここで良経さんが新年に雪を見て「花の初め」とおめでたい言葉が浮かんだのには、 昔からの言い伝えも背景にあったと思います。 昔の旧暦の新年はほぼ立春ですから、今の2月の初め頃になりますが、 新年に雪が降るのは豊年の印、前兆と言われていました。 それは古くは万葉集にも出ていますし、下っては江戸時代の農業の本や、 なんと古典落語にも出てきますからよく知られていたことではないかと思います。
とはいえ良経さんが見たのは去年の雪ですから豊年とまでは行かないわけですが、 でも年があらたまって、去年の雪が、おめでたく新年を祝う花のように見えたのでした。 「冬枯れの 梢(こずえ)に残る 去年(こぞ)の雪は 今年の花の 初めなりけり」、 去年の雪はまだ消えないけれど、雪の後には美しい花が咲いていい年になりますように! そうですね、そういう願いはきっと今も同じですね。
さあ、新しい年が始まりました。 ロケットスタートでしょうか、マイペースでしょうか。 とにかくいい年に!

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087