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今月は

2023年 2月は

大寒になって2月です。 今月はなんといっても節分そして4日が立春です。 立春は冬至と春分のちょうど真ん中の日です。 ですから暦で春が来ても気温はまだ冬なんですが、 日の光では春になります。 明るい人工光がいっぱいの我々には日の光だけが春になっても分かり難いわけですが、 でもたしかに立春が過ぎると、目に見えて日がだんだん長くなってきますね。 春の気配を感じて、がんばって寒さを乗り切って行きたいです。
今月の金花糖は、まだ冬の静かな雰囲気です。ストーブも盛んに燃えています。 こんな時のおすすめは力の出るお餅メニューで、焼餅トリオはいかがでしょうか。 金花糖の餅は、職人さんが木の杵(きね)でペッタンペッタンついた手つきのお餅ですよ。 焼餅トリオは、そのお餅を三つの味わいで楽しんでいただくというメニューです。 海苔を巻いた磯辺まき、丹波の黒豆きなこのあべかわ、 そして抹茶味の三つの味わいをセットで楽しんでいただけます。 静かなゆっくりとした雰囲気の中で、ぜひ焼餅トリオをご賞味くださいね。
では、梅を詠んだ歌です。よみ人知らずです。

色よりもかこそあはれとおもほゆれたが袖ふれしやどの梅ぞも
〔色よりも 香(か)こそあはれと 思ほゆれ 誰(た)が袖触れし やどの梅ぞも〕

色よりも 香りがもうなんて素敵なと 思ってしまうけれど 誰の袖が触れた 庭の梅だったのかなー。
ちょっとどんな意味かなと思ってしまいますが (^ ^;) 昔は素敵な香りがお洒落には必須でした。 香は服に焚き染めて、袖には特にたっぷりと薫き込めました。 ですからその袖が何かに触れると匂いが移ってしまうのです。 素晴らしい梅の香りと思ったけれど、誰かの袖の移り香じゃないんですか・・ という歌ですね。
昔のお洒落な人の、香りにかける情熱は大変なものでした。 家々に秘伝があり、白檀(びゃくだん)や麝香(じゃこう)、丁子などのお香から作るのですが、 まずその配合にそれぞれ工夫があります。 それぞれの香は鉄臼(かなうす)でついて粉にして、練り合わせ、それを寝かせてから香炉で焚いて使われます。
すると臼で何回つくのがよいか、練り合わせるのは蜂蜜を使うのがいいのか、 何かつる草から取った汁がいいのか、 寝かせるのも普通に置いておくのではなく地面に埋めるのがいい、 深さはどれくらいがいい、いやいや埋めるのは梅の木の下がいい・・・ この歌は、 そんな平安貴族の感覚で詠まれたわけですね。
そしてこの歌には面白い解釈があります。 昔の男女関係は、逢うのは必ず男の方が女の家を訪ねました。 それで男が、女の家の梅が素晴らしいのに感心したのはいいんですが、 ひょっとしてこの素敵な香りは、 誰か別のお洒落な男が来てたんじゃないの (^_^;;A と浮かんでしまったわけです(笑)
「色よりも 香(か)こそあはれと 思ほゆれ 誰(た)が袖触れし やどの梅ぞも」、 女はたぶん白ばっくれたんでしょうね(笑) 梅の香がどうこう言うようになればいよいよ春です。 いかにも春の初めらしい雰囲気で、男と女のなかなか味のある歌ですね。
さあ、ここまで来ればいよいよ春。明るい気分で行きたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087