今月は
2009年 7月は
今年の梅雨は暑いですねー。
いつもは梅雨が明けましたと聞くと、やはり暑さが何かカラッとした感じになって、
タイミングを合わせたように蝉が鳴き出して、それで夏だ!!と感じます。
でも今年は梅雨からかなり暑いです。
梅雨明けは、どんな感じになるんでしょうか。
そして近年は、水不足かと思えば急に豪雨とか、そんな気候が多いような気がします。
じめじめした梅雨はうっとうしいものですが、
でもやはりじめじめの長雨から、からっと明けて夏になる、そういうのがいいようですね。
今月の金花糖は、いよいよ夏のくずきりと氷を始めます。
くずきりは、吉野本葛を使ったほんとに美味しいものです。
本葛のくずきりは、時間がたつと固くなってしまいます。
ですから必ず御注文をいただいてから作り、出来立てをお出ししています。
本葛のくずきりの美味しさを、ぜひ味わっていただければと思います。
黒蜜、抹茶蜜と2種類の蜜をお付け致します。
ぜひご賞味くださいね。
では、夏に詠まれた藤原安国の歌です。
前書きに、ある人のもとに書き送りましたとあります。
あふと見し夢にならひて夏の日のくれがたきをも歎きつるかな
〔逢ふと見し 夢に慣らひて 夏の日の 暮れ難きをも 歎きつるかな〕
お逢いする夢ばかり見るので、それに慣れて、
夢を見るのに夏の日がなかなか暮れないのをも歎いているのです。
夢で逢うのに慣れたって、安国さん、ちょっと消極的かも。(笑)
でも、夏の日が暮れないのをも歎くほど、こんなに強く思っているのです。
だから、逢いたいとまで書きませんが分かってください、ということですね。
こんなに思ってる安国さんの思いが通じたらいいのですが、
この先どうなったのか、残念ながら分からないのです。
恋の駆け引きとしてはちょっと気弱だったかもしれませんが、
「夏の日の 暮れ難きをも 歎きつるかな」、安国さんの優しい人柄が表れた歌ですね。
次は和泉式部の、やはり夏の恋の歌です。
前書きがあります。
月の明るい夜に蛍を送ってきました人に、雨のひどく降る夜に書き送りました
おもひあらば今宵の空をとひてましみえしは月のひかりなりけり
〔思ひあらば 今宵の空を 飛ひてまし 見えしは月の 光なりけり〕
《思いがあれば 今宵の空を 飛んで来る? 見えたの月の 光でしたね》
蛍を送ってくださいましたが、思いが火と燃えて蛍のようだというのでしたら、
雨降りで暗い今宵は、飛んで来てくださるでしょうに。
燃えている蛍の光と見えたのは、実は冷たい月の光でしたね。
これは恋の駆け引きとして、なかなか鋭いツッコミです。(笑)
その頃の恋文は、単に文章や歌だけでなく、
文字の形や墨の濃さ、紙の色、手紙の折り方など、
あらゆるところのセンスが、その人が素敵かどうかを見る材料となりました。
蛍も、心が燃えているという意味で使われるものでした。
でも蛍を月の明るい夜に送ったというのは、
それでまずセンスが疑われたのです。(笑) 和泉式部さんの歌には、
「蛍は暗い夜であってこそ、光が明るく見えて素敵なプレゼントになるんでしょ。
だから今宵に蛍が届いてこそ意味があるの。
あなたがほんとに心が燃えている蛍なら、今から飛んで来たら。
そしたらあなたを認めるわ。」
という意が込められているのです。
そんなちょっとしたことでセンス疑われ、ツッコミが来る、
恐いですね。(笑) 和泉式部さんは抜群の歌のセンスを持った、
言わば恋の達人でした。
もてました!!(笑) この送られた歌の結末は分からないのですが、
「思ひあらば 今宵の空を 飛ひてまし」、
ひどい雨降りの夜、きっと男の人はオロオロに。(笑)
夏は暑くてもこんな夢中になる恋があれば、暑さも気にしないのかもしれませんが、
無ければ、とにかく水分を取って耐えるということですね。(笑)