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今月は

2020年 2月は

ここ金沢は、先月は雪がほんとに降りませんでした。 こういう年は、正月も「いいお正月ですね」という挨拶になるんですが、 大寒のころでも降らないと、大丈夫だろうかと心配になってしまいます。
今月は、3日が節分で4日が立春です。 春ですね。 まだまだ寒いんですが、空は、天気の良い日にはだんだんと春の光になってきます。 日も確実に長くなってきます。 そうしてそうこう言っているうちに、春めいてくるわけですね。
今月の金花糖は、まだまだ冬の静かな雰囲気です。 ストーブもボーボーと燃えています。 こんな時のおすすめは、力の出るお餅メニューで、焼餅トリオはいかがでしょうか。 焼き餅トリオの餅は、職人さんがペッタンペッタンついた手つきのお餅です。 それを三つの味わいで楽しんでいただくメニューとなっています。 海苔を巻いた磯辺まき、丹波の黒豆きなこを使ったあべかわ、 そして抹茶味の三つの味わいがセットになっています。 冬のゆったり落ち着いた雰囲気で、ぜひ焼餅トリオをご賞味くださいね。
では、早春の和泉式部の歌です。前書きがあります。

手紙に返事をしてこない女のもとに送りたいということで、 ある人が私に歌を詠ませましたので。 二月ごろに詠みました。

跡をだにくさのはつかにみてしかなむすぶばかりのほどならずとも
〔跡をだに 草のはつかに 見てしがな 結ぶばかりの 程ならずとも〕

筆の跡だけでも 若草ほどにちょっとだけ 見ることができたらなー 契りを結ぶまでの 程でなくても。
これは和泉式部さんが歌の代作をしたんですね。
代作を頼んだのは誰かは分かりませんが、 和泉さんは歌の名人としても知られていましたし、 加えて恋のスキャンダルでも有名な人でした(笑) つれない女性を振り向かせるためにということであれば、 この人に!となったような気がします。
昔は、恋だけでなく何かの御礼や挨拶でも、自分の思いを伝えるのは何といっても歌でした。 ですから恋をするにも、いい歌が詠めなくては先へ進まなかったのです。
もちろん電話も何もない時代、 でも思いを伝えるのに直接会うのはやはり難関、人づては不安がある、ここは手紙ということになります。 問題は、どう手紙を渡して、どんな歌で心を動かすかとなるわけです。
手紙でも、無理に置いてきても見られなければ終わりです。 しかし手紙の場合、お目当ての女性に仕えている女房と知り合いになれれば、 「御機嫌のいい時にお渡し下さい」とか言って頼むことが出来たのです。 これはいい方法ですね(笑) 女房というのは色々人付き合いがありますから、 つてをたどれば何とかなったわけです。
和泉式部さんの歌は、私は大それたことは考えていないので、 あなたの書いたものの端でも見たいだけなので・・・ と言ってお返事をもらおうという作戦です。
それを早春の、若草が先がちょっと見えるほどの様子に掛けて詠んでいます。 また若草は短いので、結ぶことが出来ないということも詠み込んでいます。 「跡をだに 草のはつかに 見てしがな 結ぶばかりの 程ならずとも」、 季節感あふれる早春の恋の歌です。さすが上手いものですね。
お返事が来たのかどうか、非常に知りたいところですが分かっていません。 そこは想像ということで(笑)
さあ、もう少しで春です。 ちゃんとバランスのよい食事で、寒さを乗り切って行きたいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087