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今月は

2023年 12月は

来ましたね、ついに12月、年越しです。 一年はいかがでしたでしょうか。 近年は寄る年波のせいか、年々一年が早くなるような気がします。 それと共に以前には無かったような身体の不調や疲れ出てくるようになり、 これが歳を取るということなんだなと感じる日々になりました。 それでも、美味しかったというお声に元気をいただいて、 今月まで来ることが出来ました。 本当に皆様のお陰です。 来年は24周年を迎えます。ちょうど二回り。なにか夢のような気がします。 本当に本当に、ありがとうございました。

そして12月の金花糖は、冬のゆったりと静かな雰囲気です。 あれもこれもと何かと気ぜわしい十二月ですが、 金花糖で庭の冬景色に静かにくつろがれてはいかがでしょうか。 そして冬のメニューといえば定番、やはりぜんざいです。 お餅はなんといっても体が暖まって元気が出ます。 金花糖のぜんざいは、職人さんが手でペッタンペッタンついたお餅に、 餡は丹波大納言ですからほんとに美味しいですよ。 今月はぜひ金花糖で、ぜんざいをご賞味くださいね。
では、年の暮を詠んだ九条良経(よしつね)の歌です。

よしのやまはなよりゆきにながめきてゆきよりはなもちかづきにけり
〔吉野山 花より雪に 眺め来て 雪より花も 近づきにけり〕

吉野山 桜の時節から雪にまで 眺めて来て、雪から桜へも 近づいたのだなー。
吉野山は、古来の桜の名所ですね。 歌舞伎の人気狂言 「義経千本桜」、その後半は美しい満開の桜が背景となりますが、 あれも吉野の桜です。 同じ背景でも、舞台が吉野となればいっそう華やかに見えます。
吉野山の景色は春には桜、夏は緑に、そして秋は桜紅葉です。 桜の紅葉は赤、橙、黄と混ざった色合いで、これもほんとに美しいです。 そして紅葉も散り、茶色の山肌に雪が降って白くなる。
昔は旧暦ですから、年が明けるのはほぼ立春になります。 今の2月の初め頃ですね。 ですから吉野山には、ちょうど昔の年末年始の頃に雪が降るのです。 良経さんの歌は、まさに一年を三十一文字で詠んだわけです。 さすがですね。
でも、単に一年をまとめただけではありません。 またこの雪が溶けてそして花が咲くのだなーと、 年が暮れて新しい年が来る、 いよいよ春が来るのだなーという思いも込めました。
「吉野山 花より雪に 眺め来て 雪より花も 近づきにけり」、 花も近づいた、新しい春を楽しみにして。 一年の終わりの思いを、吉野山から華やかに詠みいだした素敵な歌ですね。
さあ、年の暮れです。今年もおしまい。 来年が良い年になりますように!

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087