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今月は

2020年 8月は

蒸し暑いです。 今年はマスク付きということもあってなかなか大変です。 7日が立秋ですが、やっぱり残暑の方が大変なんでしょうね。
そういえば毎年、立春に始まって立冬まであるわけですが、 個人的にはこの8月の立秋がいちばん違和感があります。 でも、昔の人は季節を感覚的に決めたのではなくて天文学で、 言ってみれば数理的に決めたわけで、 立秋は夏至と秋分のちょうど真ん中の日です。 ですから立秋を過ぎれば、日は確かに短くなってきます。 しかし、暑さ寒さも彼岸まで! 秋のお彼岸、 つまり秋分の頃までは暑いわけです(笑) 結局、 今月は冷房の適正温度と水分補給ということで(笑)
金花糖も今月は、もちろん夏メニューです。 そして夏のメニューの一番人気は、大好評の氷宇治金時です。 金花糖の氷宇治金時は、丹波大納言の餡に、 抹茶蜜は抹茶の深い味わいがしっかり生かされたものです。 とても美味しいと大変好評です。 氷金時の方は、餡の上品な味わいが格別。これもとても美味しいです。 暑い夏はぜひ金花糖で、氷金時、氷宇治金時をご賞味くださいね。
では、昔は常夏(とこなつ)とも呼ばれていた、撫子(なでしこ)の花にちなんだ歌です。 藤原忠平(ただひら)の歌です。前書きがあります。

〈息子の〉師尹(もろただ)の朝臣がまだ少年でありました頃、 常夏の花を折って持って参りましたので、 その花に付けて〈長女の〉尚侍(ないしのかみ)のもとに送りました歌。

なでしこはいづれともなくにほへどもおくれてさくはあはれなりけり
〔撫子(なでしこ)は いづれともなく 匂へども 遅れて咲くは あはれなりけり〕

撫子は どれということもなく皆 輝くように美しいですが 遅れて咲く撫子は いとほしいものですね。
撫子は、撫でし子と浮かびますから、かわいがって育てた子という意も含んでいます。 まだ少年の子が、撫子の花を摘んで持ってきてくれた。 それはもう輪をかけて可愛いものでしょう。 そしてその思いを、もう大きくなって天皇の女官の最高位にいる長女に詠み送ったのでした。
そういえば、息子が花を摘んできてくれて嬉しいなんて歌を、 誰に読んでもらうかはなかなか難しいところです(笑) 立派に成長した長女というのは、 まさに格好の相手かもしれませんね。
息子の師尹(もろただ)は、歌を詠んだ忠平さんが40歳のときの子でした。 平安のころに40歳というのは、すでに老年です。 平均寿命などは諸説ありますが、 なにしろ40になると「四十の賀」という長寿のお祝いをしたのです。 源氏物語の主人公の光源氏は理想的な人として描かれているわけですが、 それでも50代で亡くなっています。それで十分に長命だったのです。 ですから忠平さんには、遅く出来た子ということでもうほんとに可愛いかったのだと思います。
昔は撫子の花を常夏とも言ったわけですが、それは夏の間中ずっと咲いている花だからのようです。 そしてこの歌が詠まれたのは、その夏も遅く終わりの頃だったのではないでしょうか。 「撫子(なでしこ)は いづれともなく 匂へども 遅れて咲くは あはれなりけり」、 どの子がと分けているわけではないけれど、 遅く咲いた花はなんとも可愛いと思う。 まあ老年まで来れば何でも衰えることばかりですが、 この歌は、とにかくそういう年になれば分かる!という歌ですかね(笑)
さあ、いちばん暑い時節です。今月は休暇もありますね。 しっかり休養を取って、元気にいきたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087