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今月は

2013年 11月は

すっかり涼しくなりましたが、先月はもう暑かったですね。 ここ金沢では、空が秋空の日でも空気は秋らしくなくて、 空は爽やかそうなのに気分は暑い、不思議な感じでした。
そんな暑さも過ぎて、空も空気も秋らしくなって、 そうであってこそ秋の味覚でも存分に味わえるような気がします。 やっぱりそういうものですね。 そして、今年もあと2ヶ月ということになりました。 今月はストーブも準備して、冬物も用意して、いよいよそんな時節です。
金花糖も今月は、ぜんざい、焼き餅トリオとすっかり暖かお餅メニューとなりました。 金花糖のお餅はおなじみの、手でぺったんぺったんついた手つきのお餅です。 お餅の伸びに力があって、とても美味しいです。 冷えてくると、やっぱりお餅は体も暖まりますし元気も出ます。 今月はぜひ金花糖で、ぜんざい、焼き餅トリオのお餅メニューをご賞味くださいね。
では、紅葉を詠んだよみ人知らずの歌です。

見るごとに秋にもなるかなたつたひめもみぢそむとや山もきるらん
〔見るごとに 秋にもなるかな 竜田姫 紅葉染むとや 山も着るらん〕

見るごとに 秋になっているなー きっと竜田姫が 紅葉に染めると 山も着るのだろう。
秋が深まって行き、山も紅葉がだんだんと鮮やかな色になって来ます。 それにしても紅葉というのは見事な眺めです。 本当に山が赤や黄色に染まるような感じですね。
この歌の竜田姫というのは、秋を司る神様です。 その竜田姫のおられるのが竜田山、奈良県の竜田川流域にある山々を言いました。 よみ人知らずさんは、竜田山がだんだんと美しい色になっていくのを見て、 見ている自分だけでなくて、山も赤く染まるのを楽しんでいるような、 そんな気がしたのではないでしょうか。 そこで、竜田姫が美しく染めた錦だから、 喜んで山も着ているだろうというような思いが浮かんだのだと思います。 「秋にもなるかな 竜田姫 紅葉染むとや 山も着るらん」、 美しい紅葉の山々を、その山の思いも想像しながら眺めている、 ほんとに素敵な歌ですね。
  次は、秋の終わりを詠んだ花薗左大臣家の小大進(こだいしん)の歌です。 小大進は平安時代の女房です。

こよひまで秋はかぎれとさだめける神代もさらにうらめしきかな
〔今宵まで 秋は限れと 定めける 神代もさらに 恨めしきかな〕

今夜までに 秋は限れ と定めたという 神代の昔もあらためて 恨めしいものだなー。
秋の終わりを惜しむ歌なのですが、秋は「今夜まで」というのは何でしょうか。
我々は春夏秋冬を、気温とかから感覚的に決めていますが、昔は違いました。 太陽の位置から、言わば数理的に季節を決めていたのです。 秋の真ん中は秋分です。冬の真ん中は冬至です。 すると冬はそのちょうど中間の日からというこになります。 ですからその日が立冬ということで、秋はその前日までということになるわけです。 今と違って、合理的に割り切って決めてたということですね。
ただ実際は、立冬が旧暦ではおおよそ十月の初めになるので、 九月の末日を秋の終わりとしていました。 この歌もその秋の終わりの日に詠まれました。 それで、「今宵まで・・・」 となるわけです。
でも小大進さんは、 昔の神様はなんでそんなふうに決めたんだろと思ったわけですが、 そんなある意味たわいないことは、普通は考えないだろうと思います。 美しかった秋がもうすぐ終わってしまう、 ほんとにほんとに惜しい、そう思えばこそ、 なんで神様は・・・ とまで思いが浮かんだのだろうと思います。 「秋は限れと 定めける 神代もさらに 恨めしきかな」、 まさに秋を惜しむ気持ちがいっぱいの歌ですね。
さあ、秋も終盤。秋らしい日々ももうしばらくです。 今月は、たっぷり楽しんでおきたいですね。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087