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今月は

2020年 1月は

明けましておめでとうございます。
新しい年はいかがでしょうか。 年が明けると、毎年のことながら何か改まった感じで気持ちがいいです。 見える景色も、新年の景色に見えて、 通って行く人までが何となく新しく見えます。 まさに、気が改まる、そんな感じですね。
金花糖は、今年はお蔭様をもちまして20周年を迎えます。 ちょうど 2000年の5月19日にプレオープン、20日に開店をいたしました。 その時は、このまま行ってくれますようにとは思いましたが、 20年までは想定外でした(笑) 寄る年波も、 皆様のほんとに美味しかったというお声に力を頂いて乗り切ることができました。 これからも、そのお声が頂けるようにと、工夫を積み重ねてまいります。 また、よろしくお願いいたします。
では、新春を詠んだ後鳥羽院の歌です。

芳野山春たつみねの霞よりことしは花とふれる白雪
〔吉野山 春立つ峰の 霞より 今年は花と 降れる白雪〕

吉野山 新春の峰の 霞より 今年は年の始めに花と 降っている白雪。
峰の雲から降る雪を、春の霞から散る花と見立てて、新春のお祝いの歌です。 昔は年の始めに、おめでたく歌を詠んで良い年にと願いました。 ましてこの後鳥羽院さんは、 第八十二代の天皇であった方ですから思いも特別なものと思います。
昔は、農業が今よりもずっと自然の気象に左右されました。 ですから季節が異常なく普通に巡って来る、それがありがたいことでした。 旧暦の新年はほぼ立春になりますから、 新春には春の兆し、春霞が少しだけ見える、 季節が普通に来ることがおめでたいのです。
去年は大嘗祭という、ほんとにめったに見られないものを見ることができましたね。 見て感じられることの一つは、国のまつりごとが農業とほんとに深く関わっていることです。 昔は、国の全経済活動と雇用の80%以上が農業でした。 まつりごとが農業と深くつながっているのも当然かもしれません。
あとこの歌の「白雪」は、山に降っているだけなのか分からないのですが、 新年に平地に雪が降るのは、万葉の頃から豊年の吉兆でした。 理由は分かっていません。 しかし江戸初期に、 武士を捨てて農業技術の研究を行なった宮崎安貞が、 著書の中でこんな事を書いています。

雪を集め押し付けておく事は、一つには地中に陽気を閉じ込めおく心、 二つには春夏まで地に潤い残りて、久しく有るゆえ、旱(ひでり)に痛まず、 三つにはきり虫なども死して地の気新しくなるべし。 雪を豊年の例(ためし)と言い慣らはせり。・・・ (農業全書 / 宮崎安貞)

春先の雪が、旱(ひでり)や害虫に強い農地にすることを、 昔の人は何か感じていたのではないでしょうか。 そうして後鳥羽院さんは、新年に思いを込めて歌を詠んだわけです。 「吉野山 春立つ峰の 霞より 今年は花と 降れる白雪」、 今年の春は美しい花がいっぱい咲いて、そして豊作でありますように。 まさに、天皇であった方の新年の御歌ですね。
さあ、年が明けました。今年がいい年でありますように !!

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