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今月は

2019年 1月は

明けましておめでとうございます。
年が明けるとほんとに気持ちがいいですね。 もういいというくらい経験してるわけですが(笑) 気持ちがあらたまるというはいいものです。 ただ、かつては今年はこうするぞ!みたいな感覚でしたが、 でもまあ寄る年波でしょうか、 今年はどんな年になるんだろうとか、かなり受身になってます(笑)
さて金花糖は、今年の春で丸19年いよいよ20年目に入ります。 開店のときには、お店としてこれだけ続くと思ってはいませんでした。 また年齢的にも無理と思ってました。 皆様のお蔭でここまで来ることができました。 本当に皆様のお声が、どれだけ励みになったかわかりません。 今は以前にくらべると精神的にはゆっくりとさせていただいております。 それが体は動かなくなりましたが、おもてなしやより美味しい味わいにつながればと思っています。 また本年もよろしくお願いいたします。
では、年の初めを詠んだ後鳥羽院の歌です。

春たてばかはらぬ空ぞかはりゆく昨日の雲かけふのかすみか
〔春立てば 変はらぬ空ぞ 変はり行く 昨日の雲か 今日の霞か〕

新しい春になったから 変わらない空が 変わり行くのだなぁ 昨日からの雲なのだろうか 今日のかかった霞なのだろうか。
新春を迎えた歌ですね。 旧暦のお正月はほぼ立春になりますから、 春霞が見えて春がちゃんと来ていますと、 お祝いの意味で春の兆しを詠んでいるわけです。 また、いい歌を詠むことは、天に感ずれば世を動かす力がありました。

力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をも哀れと思はせ、 男女の中をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。(古今和歌集 序)

後鳥羽院さんは、第八十二代の天皇でした。 お立場からすれば、そういうお祝いの歌を詠むことはますます大事なことだったでしょう。
そして昔は、農業が国全体の経済活動そして雇用の80%以上を占めていました。 今は全体の2、3%にすぎません。 まさに農業こそが国を支える最も重要なものでした。
しかし昔の農業は、今よりも大変に気候の影響を受けやすいものでした。 ですから、季節が何ごともなく普通に来るようにと、まずそれを願ったのだと思います。 立春のころはいきなり暖かくなってもいけないわけで、 まだ寒いけれども何か春の兆しが見えている、それが御めでたいのです。
新年の掛軸で、初日の出とかよくありますね。 見てみると、やはり少し霞が描かれています。 霞はちょっとの付けたしではなくて、それで御めでたい初日の出になるわけです。 「春立てば 変はらぬ空ぞ 変はり行く 昨日の雲か 今日の霞か」、 やはり天皇が、新年の空を見上げているようなお姿が浮かびます。 お決まりのようなお祝いの歌に、 季節が乱れることなく巡ってきますようにと、祈りの込もった歌ですね。
さあ、新しい年のスタートです。よい年になりますように !!

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087