今月は
2003年 4月は
春になりました。暖かくなって、桜ですね。
今月の特別メニューも、桜餅となっています。桜餅の香りは、
塩漬けにされた桜の葉っぱからの独特のもの。その香りが、
道明寺粉を使ったむっちりタイプの皮と組み合わさって、
季節感いっぱいの美味しい桜餅となっています。ぜひ、ご賞味ください。
さて、先月から始まった鯛焼きですが、丹波大納言
のツブツブ餡子と、粉っぽさがない、美味しい皮の組合わせで
大変好評です。焼きたてがいちばん美味しいのはもちろんですが、金花糖の
鯛焼きは、冷えたのを温めなおしていただいても美味しいので、
お土産にもおすすめいたします。
では4月は、桜にたいする思いを詠った古来もっとも有名な歌、
詠んだのは在原業平(ありはらのなりひら)です。
世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
< 世の中に、絶えてしまって桜が無いならば、春の人の心は、 穏やかにのんびりしてるだろう >
そうそう、咲く前は、いつ咲くのだろうと桜前線に気をもみ、
咲けば、早く散ってしまわないだろかと心配になる、桜に対する
思いの深さを、逆説で表現したのですね。業平、やっぱりいいですね。
そして、妖艶とも評されるこの歌
風かよふ 寝覚めの袖の 花の香に かをる枕の 春の夜の夢
< 風が吹きとおり、目覚めると、袖が桜の香に薫っている。 枕も桜の香りだ。その枕で見ていた春の夜の夢 >
美しい!それ以外の言葉が出ないほど、本当に美しい。
詠んだのは、俊成女(しゅんぜいのむすめ)。新古今和歌集の
撰者であり百人一首を作った藤原定家の、姪にあたる人。
桜の香りにつつまれた、春の夜の夢、どんな思いが
見えたのでしょうか。