今月は
2002年 2月は
2月は、節分が来て立春ですね。いよいよ春が来始めます。 とはいっても、
春きぬと 人はいへども うぐひすの 鳴かぬかぎりは あらじとぞ思ふ
<春が来たと人は言うけれど、うぐいすが鳴かないかぎりは まだ来てないと思うのだ> ・・・・・ 壬生忠岑(みぶのただみね)
確かにそんな感じでしょうか。こんな寒いのに春なの?という感覚は、
昔の人も同じだったわけです。立春の日から、自然はすこしずつ
春の準備を始める、そんな風に考えればいいんでしょうね。
そこで今月のメニューですが、もなかです。
皮の中はもちろん金花糖の餡がたっぷり。それに、煎茶を添えて
お出しいたします。甘いもの好きの方には、特にお楽しみ
いただけるメニューではないかと思います。
今月は冬のピークが過ぎて、少しづつ寒さが和らいでき
ますよね。この時期にも、素敵な歌があります。
山深み 春とも知らぬ 松の戸に たえだえかかる 雪の玉水
<山が深いので 春とも知らない庵の松の戸に とぎれとぎれに かかる 雪の美しい雫>
新古今和歌集、春歌上の式子内親王(しょくしないしんのう)
の歌です。美しいですね。
でも彼女の歌は、いつも何か、秘めたものが感じられます。
この歌も、「春とも知らぬ」「たえだえ」という思いが気になります。
「春」が自分の思い、「松の戸」が思っている誰かかもしれない。
ぽつりぽつりと、冷たい雪を溶かしながら叩いている、思いの
雫に気が付かないの?「松」は「待つ」の意でしょうか。