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今月は

2010年 3月は

先月も降ると雪でしたが、下旬からようやく降っても雨になりました。 いよいよ春、三月が来ましたね。 金沢では例年三月にも一度雪が降るんですが、 それでも日に日に春めいてきます。 最近は季節感が無くなったとか言われますが、でも冬はやはり外出も おっくうですし、春になれば外出も楽、旅も気持がいいですね。
金花糖も今月は冬眠から覚めて、特別メニューに「ひな祭りパフェ」をいたします。 ひな祭りパフェは、短冊に切ったスポンジケーキに餡や苺が添えられた、 毎年大好評のメニューです。 自家製スポンジケーキの、しっかりした味わいがベースになっています。 ぜひ、ご賞味くださいね。
では、梅を詠んだ藤原兼輔(かねすけ)の歌です。

梅花たちよるばかりありしより人のとがむるかにぞしみぬる
〔梅の花 立ち寄るばかり ありしより 人の咎むる 香にぞ染みぬる〕

《梅の花に 立ち寄るほどの ことにより 人の咎める 香に染み付いて》

面白い歌ですね。 誰かいい人と御一緒だったんじゃないですか、 素敵な香りの方ですねー ・・・ 梅の花にちょっと立ち寄っただけなのに、 人に咎められるようなことになってしまった!!
その頃は、お洒落に衣服に香を焚き染めました。 香りそのものも凝っていて、色々ブレンドして作るのです。 ですからその頃の人は、匂いにも敏感だったのではないでしょうか。 それで香りの強い梅の花に立ち寄っただけで、 疑われてしまったというわけです。
しかし、ここで冷静になって考えてみると、 梅の花に立ち寄る人なんていっぱいいるはずです。 そんな人がみんな疑いを掛けられてたら、 毎年梅の花の咲くころには世の中が 大騒ぎになってしまいます。(笑) ということは兼輔さん、 以前に梅の花の香りの人と、 「前科」があったのでは ないでしょうか。(笑) そのために 人からなんだかんだと言われてしまう。 そこで、いやー梅の花はほんとに香りが強いですねー、 と梅のせいにして 「人の咎むる 香にぞ染みぬる」 と詠んだのでは。(笑)
でも、こういう言い訳がましいことを歌でするというのも優雅ですね。 そしてなんか想像がいろいろに浮かぶ面白い歌ですね。
次は、いよいよ桜の歌、よみ人しらずです。

浅緑のべの霞はつつめどもこぼれてにほふ花ざくらかな
〔浅緑 野辺の霞は 包めども 零れて匂ふ 花桜かな〕

《浅緑 野辺の霞は 隠せども 零れ出て咲く 花桜かな》

美しいですねー。 野は浅緑、そこに真っ白に霞が立ち、その霞から浮き出るように桜が咲いているのです。 ほんとに、見てみたいような光景ですね。
浅緑は野辺の枕詞なのですが、この歌では意味があるように思います。 色としての浅緑はもちろん薄い緑色ですが、その頃は新芽の色を言う言葉でした。 「緑」も(色でなく)草木の芽という意味がありました。 (例えば「みどりご」〔緑児・嬰児〕という言葉には、新芽のように生まれたばかりの児の意 という説があります。)ですから浅緑の野辺は、まさに新芽の野辺という思いなんでしょうね。
新芽の野辺、春霞、そして霞から「零れて匂ふ 花桜かな」。 これぞ春です!! 素晴らしい歌ですね。 そして、ここまで来たら、もうただ桜を待つのみの気分ですね。(笑)

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087