今月は
2015年 8月は
いよいよ夏です。
それにしても先月台風が近づいたときは、もう暑さすごかったですね。
ほんとにぐったりでした。
また年がどうこうという話になりますが(笑)、若い頃は夏の暑さがここまで体にこたえるものだとは思わなかったです。
でもその頃は冷房なんて普通の家にはなかったわけですから、今となってはよく過ごしていたものです。
そして暑さの対策といえば、やはり水分補給ということになりますが、
水分も特に年の行った人は喉が渇く前に取らなくてはいけないそうですね。
とにかくしっかり水分補給で、なんとか元気にこの夏を過ごしたいです。
金花糖も今月は、まるまる夏のメニューです。
そして夏メニューといえばやはりまず氷金時です。
金花糖の氷金時は、餡がほんとうに美味しいですよ。
丹波大納言の餡に、冷たい氷が格別の味わいになっています。
また氷金時に加えて、美味しい抹茶蜜を使った、氷宇治金時も大変好評です。
暑い夏はぜひ金花糖で、氷金時、氷宇治金時をご賞味くださいね。
では、夏を詠んだ紀友則(きのとものり)の歌です。
蝉のこゑきけばかなしな夏衣うすくや人のならむと思へば
〔蝉の声 聞けば悲しな 夏衣薄くや人の ならむと思へば〕
蝉の声が 聞こえて悲しいなー 夏衣のように薄くあの人の心も なりそうと思うので。
恋をしていると、何を見ても何を聞いても心配の種なんですね。(笑)
昔の人が蝉から連想するものの一つは、
夏の薄い一重の衣でした。
蝉の羽は、葉脈みたいな筋はありますがあとは透けているので、そこからの連想です。
平安の頃の、夏の室内の様子を描いた絵が残っています。
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今でいえばシースルーです。 ぎょっとするくらいですよね。(笑)
でも当たり前ですが冷房なし、扇風機なしですからね。 まあ人前でこんな格好はできないでしょうけど、 少なくとも家の中で内輪の人だけのときはこういう衣でした。 それで、蝉の羽から夏衣へと連想が行くわけですね。
そして昔は夏になれば、蝉の声もずーっと聞こえてたのではないでしょうか。 すると、いつも鳴いている、いつも泣いている、 とまた連想が働くわけです。(笑) 「蝉の声 聞けば悲しな 夏衣薄くや人の ならむと思へば」、 蝉、夏衣、薄い、愛情が薄い、泣く・・・ 恋の歌ですが、暑い夏の季節感いっぱいの歌ですね。
次は、蛍を詠んだ源重之の歌です。
おともせでおもひにもゆるほたるこそなくむしよりもあはれなりけれ
〔音もせで 思ひに燃ゆる 蛍こそ 鳴く虫よりも 哀れなりけれ〕
音もさせないで 思ひに火と燃える 蛍こそ 鳴く虫よりも きっと哀れなのだなー。
これもやはり恋に悩んでいるような。(笑)
そんな時は、自分の心の状態に当てはまるようなものに、どっと心が動きます。
あるときは花の色に、あるときは虫の声に、そしてまたあるときはとなるわけですね。
重之さんは、それはまさに蛍でした。
きっと悩む様子を表に出せないような恋、事情は分かりませんがそんなことはいくらもあるでしょう。
昔は階級が厳しいですし、家のこともあるでしょうし。
夜、蛍が飛ぶのを見ると、すーっとほんとに音が消えたように光が動く不思議な感じです。
重之さんは、音を懸命に隠して飛んでいる、そんな感じがしたのでしょう。
この歌の「哀れなりけれ」の 「なり」 ですが、もともと「鳴り」とも関連があって、
音を聴いて想像するという意味を持っています。
ですから面白いことに、いわば無音を聴いて、「哀れ」なんだろうなーと想像したということです。
それほど音を殺して飛んでいるみたいな、そこに心を打たれたわけです。
「蛍こそ 鳴く虫よりも 哀れなりけれ」、夏の、静かに燃える恋の歌ですね。
さあ、恋する夏・・・ は、ちょっと難しいかもしれませんが(笑)、
でもわくわくするような気持は持ち続けたいですね。