今月は
2011年 3月は
だんだん暖かくなってますね。
寒い日もあるけど続かないし、やはり冬とはちがいます。
今年の冬は、庭木が折れたりとか、腰を痛めたりとか(笑) やっぱり雪が大変でした。
時節が来れば雪が消えてちゃんと暖かくなるというのは、あたりまえなんでしょうけど、
やはり嬉しいものですね。
金花糖も今月は、おひな様をかざって、
ひなまつりパフェをメニューに入れて、春らしく行きたいと思います。
おひな様は昭和の初め頃のものですので、顔立ちも昔風です。
眼がぱっちりしてなくて細いのです。
源氏物語絵巻に描かれているような引目(ひきめ)鉤鼻(かぎばな)の顔は、
こんな顔立ちなのだろうと思っています。
ひなまつりパフェは、
自家製スポンジケーキのしっかしりした味わいを生かしたメニューです。
スポンジケーキを短冊に切って、金花糖の餡や苺が添えられた、
毎年大好評のメニューです。
今月は金花糖で、ぜひひなまつりパフェをご賞味くださいね。
では、梅の花を詠んだ紀友則(きのとものり)の歌です。前書きがあります。
梅の花を折って人に贈りました時に
君ならで誰にか見せむ梅花色をもかをもしる人ぞしる
〔君ならで 誰にか見せむ 梅の花 色をも香をも 知る人ぞ知る〕
あなたでなくて誰に見せましょう、この梅の花。
色の素晴しさ、香の素敵なこと、分かる人には分かるのです。
こんな歌で花が贈られてきたら、嬉しいですね。
あなたに贈るのでなければ意味がない、
その思いを「知る人ぞ知る」、
この言葉でぴたっと決めてますね。この歌は1100年前に
詠まれたものですが、この言葉は今でも使われますね。
意味はご存知のとおり、
わからない人はともかくとして、知っている人は知っている(日本国語大辞典)
ということですが、この歌が、「知る人ぞ知る」という言葉のいちばん古いもののようです。
もちろんそれは今の残っている文献の範囲での話ですから、
前からでも使われてたのかもしれませんが、
この友則さんの歌で、決まり文句となって広まったのだろうと思います。
ドナルド・キーンさんは 「古今集の伝統はまだ生きています。」(日本の面影)と
書かれています。日本語は少しずつ変化はしていても、
ほんとに千年以上前からの伝統が生きている言葉なんですね。
「君ならで 誰にか見せむ」と起こし、「色をも香をも 知る人ぞ知る」で締める。
梅の花を贈った人と贈られた人、二人の日頃の付き合いまでも浮かぶような、
見事に決まった歌ですね。
次は、藤原長家が詠んだ桜の歌です。
花の色にあまぎる霞たちまよひ空さへにほふ山桜かな
〔花の色に 天霧る霞 立ち迷ひ 空さへ匂ふ 山桜かな〕
桜色に 天には霞がかかり ただよっている 空さえも美しい 山桜だ。
霞がかかって、ぼんやりした景色が春らしい趣なのですが、
その空の霞が、山桜の色が映ったかのように桜色になっていたのです。
地には桜が咲き、空には桜色の霞がただよっている。
すばらしい眺めですね!!
その霞の様子を長家さんは、「天霧る霞 立ち迷ひ」 と表わしました。
簡単に言えば、空が曇っているというだけの意味です。
しかしその霞の眺めは、単に曇っているという雰囲気ではなかったのだと思います。
まるで、大空も桜色にするために特別な霞が天に表われたような、
そしてその霞が「立ち迷ひ」、あたりを去らず立ちこめたままになっているのです。
長家さんは、まさに壮大な天の采配をまのあたりにしたような、
そんな思いになったのではないでしょうか。
「空さへ匂ふ 山桜かな」、
素晴しい眺めに春の喜びが湧いてくる、そんな素敵な歌ですね。
さあ、春です!! 桜です!!