今月は
2013年 7月は
もひとつはっきりしない梅雨ですね。
どうなっているんでしょう。
そして今月は、いよいよ夏です。
暑いのは大変なんですが、やはり服装も身軽だし外は明るい、雨具も要らない。
そのせいか夏は、いろいろ気軽にできるような感じがあって、
まあ暑いし健康管理もとかはあるんですが、
気軽にお出かけもして、夏の楽しい気分をいっぱい味わいたいものですね。
金花糖も、今月は夏メニューが始まります。
中頃まで、味わいが大変好評のわらび餅を続けまして、
それから、くずきり、氷の真夏のメニューとなります。
くずきりは、吉野本葛を使ったものでほんとに美味しいです。
本葛のくずきりは時間が経つと固くなってしまいますから、
必ずご注文をいただいてから作っています。
少しお時間をいただきますが、くずきり本来の味わいを楽しんでいただけます。
蜜は、黒蜜と抹茶蜜の2種類をお付けしています。
今月は金花糖で、ぜひくずきりをご賞味くださいね。
では、夏を詠んだ増基法師の歌です。
けふよりはたつなつごろもうすくともあつしとのみや思ひわたらむ
〔今日よりは 裁つ夏衣 薄くとも 暑しとのみや 思ひわたらむ〕
今日よりは 夏が立ち、そして裁ち仕立てた夏衣。たしかに薄いけれども、
ただもう暑いと 思い続けていこう。
昔はもちろん冷房なんてものもないですし、とにかくまず薄い夏ごろもを着て、
あとは、今からは暑いんだぞと覚悟を決めていこうということですね。
考えてみれば、各家庭に普通に冷房があるようになったのはいつ頃からだったでしょうか。
子供の頃、夏に暑い暑いとばかり言ってたら、大人の人に夏は暑いのは当たり前だ
と言われたことがありました。その頃は、そんなこと言わなくてもとか思いましたが、
暑いものと思っていれば気分も違うんだよ、ということですね。
昔の夏衣ですが、布はつるつるの練絹ではなくて、肌触りの荒い生絹をよく使いました。
麻とかと同じでその方が涼感があるんでしょうね。
それで夏も盛りの頃には、女性でもくつろげる家の中などでは、
その生絹を紗に織った衣一枚だけで過ごしていたみたいです。
昔の絵を見ると、上半身が透けて描かれていますから、
なかなか大胆ですね。(笑) ということは 「裁つ夏衣 薄くとも 暑しとのみや 思ひわたらむ」、
とにかく肌が透けるほどのものを着てても、日本の夏は暑い、
結局そういう歌ってことになるのかも。(笑)
次は、七夕を詠んだよみ人知らずの歌です。
織女の年とはいはじ天河雲たちわたりいざみだれなん
〔織女(たなばた)の 年とは言はじ 天の川 雲立ちわたり いざ乱れなん〕
七夕のように毎年とは言いません。天の川に 雲が立ち現われて一面になり、
さあ、この空のように乱れてください。
すごいこと言ってますね。(笑) これは後撰集に載っている歌ですが、
後撰集は勅撰集です。つまり帝の命によって編集された歌集ですから、
それで 「いざ乱れなん」 なんていいのかなと思ってしまいます。(笑)
でも、確かにいきなりそんなことを言ってはやはりまずかったと思うのですが、
ここは、現れた雲からの縁語として「乱れる」が出てきて、
それで面白い歌になったということではないでしょうか。
七夕は出会いの日です。しかしこの日は天の川が雲に覆われて、
そんな場合は、天の川を渡るのが大変とかそういう歌が多いのですが、
そこを、雲の縁で「乱れなん」と詠んだところがミソですね。
でもそれで本当に乱れることができたんでしょうか。(笑) まあ、
それはどうだか分からないのですが 「天の川 雲立ちわたり いざ乱れなん」、
なんとも面白い、機知を感じる歌ですね。
さあ、いよいよ夏です。今年は、乱れすぎないようにしたいです(笑)