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今月は

2013年 8月は

やっぱり暑いですね!! 子供の頃は家に冷房なんて無かったわけですが、 年のせいもあって(笑) 今となっては無しはもう考えられないくらいです。 これから暑さはまだまだなのですが、 そうこう言っているうちに、今月は7日が立秋です。 暑さはまだ変わりませんが、 昼の長さや、日の高さは秋モードになってきます。 8月は夏全開みたいな月ですが、 日は少しずつ秋になってくる月でもあるわけですね。
金花糖も今月は夏全開のメニューです。 そして夏のメニューといえば、まず氷です。 金花糖の氷は、餡がほんとうに美味しいです。 餡は丹波大納言で、それに冷たい氷が組合わさって、ほんとに格別の味になっています。 また氷金時に加えて、美味しい抹茶蜜を使った、氷宇治金時も大変好評です。 暑い夏はぜひ金花糖で、氷金時、氷宇治金時をご賞味くださいね。
では、夏の思い出を詠んだ壬生忠峯(みぶのただみね)の歌です。 前書きがあります。
以前に通い、女と住んでおりました所にて、ホトトギスの鳴いていたのを聴いて詠みました。

むかしべや今もこひしき郭公ふるさとにしもなきてきつらむ
〔昔へや 今も恋しき ほととぎす 古里にしも 鳴きて来つらむ〕

昔へと思うのか 今も恋しい ほととぎす 古里にも 鳴いて来たのだろうな。
この「古里」は、かつて住んでいた所の意です。
昔恋人と住んでいたなんて所に来れば、 相手にもよるでしょうけど(笑) 単に懐かしいでは済まないでしょうね。 そこにホトトギスが鳴いて来た。 それでまた、心の奥から記憶が湧いてきて、思い出すものがあったのではないでしょうか。 ホトトギスも、古里が恋しくなって来たのかもしれない、そんな思いになったわけですね。
思い出もいろいろですが、いやなことは掻き消され、なぜかいいことばかりが浮かぶ、 そんな思い出というのはあるもの。 ホトトギスは声が人恋しさを誘い、そして夏の季を代表する鳥です。 するとホトトギスが来て、恋人との夏の思い出が、一気に蘇えったのかもしれません。 「今も恋しき ほととぎす 古里にしも 鳴きて来つらむ」、 あの頃は・・・ 忘られぬ恋、そして古里に蘇える思い、 そんな光景が浮かぶ歌ですね。
次は、夏の終わりを詠んだ慈円の歌です。

山かげやいはもるし水おとさえて夏のほかなるひぐらしのこゑ
〔山陰や 岩漏る清水 音冴えて 夏の外(ほか)なる 蜩(ひぐらし)の声〕

山陰に 岩を漏れてくる清水の 音は冴えて 夏とは違う ヒグラシの声
山陰は、ずーっと日陰になってるので夏でも比較的涼しいわけですが、 夏も盛りを過ぎて、岩から漏れてくる水の音がピチャピチャか、 ポチャポチャか知りませんが(笑) 聞こえてくると、 夏に涼ありで気持ちよかったんでしょうね。 そして、カナカナカナカナと言う、ヒグラシの声が聞こえたわけです。
蝉は普通は夏のものですが、ヒグラシは、 秋口まで鳴いているので初秋のものとされています。 実際は夏の初めから鳴いているわけですが、 夏の間は他の蝉の声に紛れて目立たないということでしょうか。 そして昔は、立秋の頃から季節は秋と言いましたので、 そういうこともあってヒグラシは秋となっているものと思います。 源氏物語でも、蝉は夏に出てきますが、ヒグラシは初秋に登場しています。
慈円さんは、山陰で清水の音を聞きながら夏の涼しさを味わっていたのですが、 ヒグラシの声を聞き、そこでもう夏も終わりだ、という思いが湧いたのでしょうね。 「岩漏る清水 音冴えて 夏の外(ほか)なる 蜩(ひぐらし)の声」、 岩を漏る清水の音にヒグラシの声が重なって、 夏終盤を音から感じた歌ですね。
さあ、今月は暑さもピーク。しっかり水分補給を心がけて行きたいです。 そしてお盆も過ぎれば、暑さも和らぐことを期待したいです。

甘味処 金花糖/石川県金沢市長町 3-8-12/tel 076-221-2087